第145話 モノポール

 巨人のダンジョン。

 今度は学校。

 巨人が40人ぐらいいて、机に向かって椅子に座っている。

 教師の巨人は黒板何やら書いていた。

 言葉が分からないからなんて書かれているのかも分からない。


 この様子はまるで青空教室だ。


 しかし、40体の巨人が一斉に向かって来ると考えたら、これはこれで強敵だな。

 俺なら連打で切り抜けるところだ。


【巨人が学校の真似事をしている】

【真似事ではありません。彼らは文化を持っているのです】

【生徒がみんな成人だな】

【子供の巨人だったら罪悪感で手が鈍りそうだ】

【彼らの生態は分かってません。が、成人で産まれてくるという説もあります】

【あっという間に大きくなるのかな。まるでゴブリンだ】

【巨人達をゴブリンと同列に見ないで下さい】


「さて、弥衣やえ達はどうするのかな」


【バリスタで近づかれる前に削りまくる】

【何か新兵器を出す】

【一網打尽にするなら爆弾だな】


「見てて」


 弥衣やえが爆弾みたいな物を取り出した。

 そして、綺羅々きららが思いっ切り投げた。

 爆弾は青空教室の真ん中で爆発。

 巨人に大打撃を与えた。


【おい、爆発物は免許がいるぞ】

【ダンジョンの中だからな。法律は及ばない】

【作っちゃだめだろ。その時点でアウトだ】


弥衣やえさんや、さっきのは何?」

「今忙しい」


 弥衣やえはバリスタで巨人の残党を狩っている。

 綺羅々きららとシロガネは前衛として巨人を討伐。


 しばらく待とう。


【爆発物の免許取ったのかもな】

【忙しいって拒否られて涙目のおっさんドンマイ】

【カメラにおっさんの顔は映ってないだろ】

【つヤエチャンネル】


「涙目なんかなってない」


【いいんだよ思いっ切り泣いても】

【巨人の討伐を辞めなさい】

【ワンパターンは飽きる】

【彼らは学生ですよ。いたいけな子供を手に掛けるのですか】

【どうみても成人してる】


「やつらが子供だったとしても容赦はしない。それが悪だからな」


【おっさんは何もしてないけどな】

【さっきの爆弾が何だったか考えようぜ】

【肥料から作った】

【犯罪だろ】

【犯罪にならない奴ね。花火を買い込んで作った】

【それも犯罪だ】

【あれは爆弾じゃない。鉄の玉の中に魔法をぶち込んで爆発させたんだ】

【それなら合法だな】


「俺は弥衣やえが新物質を作ったと思う」


【どんだけ、ヤエちゃんは有能なんだよ】

【分からんぞ】

【俺は酸があるだろあれを化学反応させたに1票】

【あの酸は凶悪だからな確かにあり得るかも】

【またひとつ巨人の住処が襲撃されました。皆さん抗議の声を上げましょう】


「そろそろ良いかな。弥衣やえや爆弾の種明かしをお願い」

「マグネタリウムがあったでしょ。それの磁力の反発で爆発させたのよ」


【なぬ、モノポールを作ったのか】

【なにそれ】

【磁石ってのはSとNが必ずある。それのないのがモノポールだ】

【これって特許でウハウハなのでは】


「特許申請したのか?」

「もちろん。ただ一瞬しかモノポール状態にならないのよね。魔法の一種みたいな物ね」

「マグネタリウムありきか」


【この技術はノーベル賞ものだろう】

【だな。ヤエちゃんが、ノーベル賞取るのか】

【遠い存在になるな】

【製品に使用されるのは何年か後だろう。それからだな】

【世界に貢献しないとだからな】


 うん、弥衣やえはもう大学行く必要がないんじゃないか。

 俺とはますます釣り合いが取れない。


【おっさん、悲しそう】

【ヤエちゃんが離れると思っているのかな】

【仲間なら成功を喜んでやれよ】


弥衣やえは離さない。弥衣やえの功績は俺の物だ」

「うん、そうだよ」


【おっさん、良かったね】

【ヤエちゃんはおっさんのどこが良いんだろう】

【おっさんがヤエちゃんを不良から助けたんだよ。強いと分かってない時に】

【それは勇気ある行動だな。ボコボコにされるとも分からないのに】

【確かにそれは惚れるかもな】

【それに金だけは持っている】

【結局、金か】


「俺の悪党としての恰好良さに弥衣やえは惚れたんだ」


【その割には涙目だったけどな】

【まあ、財力を考えたらお似合いかもな。悔しいが】

【巨人を守る会に寄付しなさい】

【するわけないだろ】

【素早い突っ込みだな】


「俺は悪を成すために金を使う。誰にも文句は言わせん」


 モノポールがどうして凄いのか聞きそびれた。

 後で弥衣やえにこそっと教わろう。

 ノーベル賞ものだというからきっと凄いんだろう。

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