第138話 風呂
巨大な木。
敵は斧を持ったジャイアント。
ウッドスジャイアントだな。
攻撃はバリスタ。
遠距離での撃ち合いか。
まあ良いんだけど。
レベル帯というかランクというか、
まあ、ジャイアントはでかいというだけで脅威だ。
オーガクラスだからな。
ウッドスジャイアントは俺達を見ると馬鹿でかい斧を投げてきた。
斧は
【これあかん奴だ】
【
【ヤエちゃんもね】
【巨人の怒りだ。思い知れ】
ファントムの出番かな。
でもそうするとファントムが俺達のストーカーみたいに思われる。
しょうがないなとそう思ったら、
何だろ。
次に投げられた斧は、杭に向かって軌道を変えた。
へっ、どうして。
【マグネタリウムの杭か。あの物質はおっさんの妄想ではなかったのだな】
【討伐動画はCGだが、素材はコボルトとケットシーが実際に採っていると思われる】
【へぇ、魔力を込めると磁力を発するんだよな】
【最近、色々な場所で使ってる】
「流石、我が女達だ。対策に抜かりはない」
こちらから撃つバリスタの矢はアルミ合金で磁力の影響を受けない。
そう武器工房のおっちゃんが言ってた。
それを思い出した。
【うん、盾は何だったの】
【試しにやってみたんじやないか。でプランBに切り換えた】
【プランCも用意してあったり】
「巨人を守る会とやら、こんな巨人では俺達に怒りの一撃は加えられない」
【巨人は正義です。最後には勝つのです】
【現在、負けているけどな】
【鉄製品じゃ、マグネタリウムには敵わないとみた】
「ふっ、我が軍団の採取係は有能だ。こういった役立つ素材ばかり採ってくる。おかげで毎日、札束の風呂に入れる。もちろん一度使った札は捨てるけどな」
【どこに捨ててるんだ。俺が拾いに行くから教えろ】
【札束の風呂は気持ちよくないだろ。紙だから寒くはないが、暖かくもないと思われる】
【ネタにマジレス恰好悪い】
【だな。おっさんの寒いジョークに反応するなよ】
「わはははっ、貧乏人め」
【くっ、言い返せない】
【人の手垢のついた札束の風呂は気持ち悪い。金を貰っても入りたくない】
「では大吟醸の風呂に入ろう」
【そこは牛乳風呂にしとこうよ】
【ワイン風呂とかいいな】
【柚子風呂もいいぞ。カボスとかもな】
【風呂の話なんかしてていいのか】
【討伐はマグネタリウムの杭で終わっただろう。まあヤエちゃんの活躍は後でじっくり見る】
「よし、ワイン風呂にしよう」
【ヤエちゃん達が入るなら見に行く】
【水着着て参加するよ】
【私も】
【本人か。討伐中に余裕だな】
【水着でもオッケー】
「いやあ、今回は活躍したな」
【えっ、おっさんはどこで活躍したの】
【マグネタリウムの杭は俺のもの。俺が活躍したと言うに決まっている】
「よく分かったな。金と装備の力で無双する。これが新しい冒険者の姿だ」
【巨人の虐殺をやめなさい】
【だから言っても無駄】
巨大木々の森を抜けて、砦が見えた。
今日の討伐は終りだな。
外に出て、ダンジョン近くの広場を借りる。
そこにでかい風呂を用意した。
赤ワインを混ぜたお湯で湯舟を満たす。
巨人の血の風呂という立て札を立てた。
入りたければ水着を着て参加して下さいとも書いた。
ワイングラス片手に風呂に入る。
「言うに事欠いて巨人の血ですって!」
巨人を守る会のおばさんが金切り声を上げた。
ふぃー、いい気分だ。
俺のファンなのか、
成人している奴にはワインを振る舞う。
【水着姿はカメラに収めた】
【俺も。ついでに記念だから風呂にも入った】
【はぁはぁ、ヤエちゃんが入った風呂】
【お巡りさんこいつです】
風呂から出てコメントを見ていたが好意的なのが多い。
まあ、お祭りみたいなものだからな。
ちなみに着替えはダンジョンのロッカールームで行える。
血しぶきを浴びた奴なんかも入れる所だから、ワインの湯をぽたぽた垂らしても怒られない。
調査依頼の冒険者の何人かも風呂に入った。
巨人討伐反対の声を上げてた奴もいる。
あれはやっぱり金を貰っていたのかな。
サクラかどうか分かっても仕方ないから追及はしない。
さすがに巨人を守る会の人は入らなかった。
風呂に入ってくつろげば些細なことなどどっかに行くのにな。
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