第136話 ファイナルサークル
冒険者バトルだ。
今回の武器はこれだ。
ピコピコハンマー。
特殊ビニール製。
武器工房のおっちゃんの話ではオーガが噛んでも噛み千切れないらしい。
そしてクッション性。
俺がある程度力を入れても、ダメージが入らない。
さあやるぞ
「構えて。始め」
先手必勝。
俺はピコピコハンマーで対戦相手を叩いた。
やべっ、力が入り過ぎたか。
対戦相手は頭を叩かれて、床に激突。
鈍い音がした。
ピコ、ガンみたいな感じだ。
「両者、八百長により失格」
【またしてもサクラの演技指導を間違えたな】
【失格で草】
【金の力でやられたらね】
【公正な審判だ】
ああ、なんとなく逆に楽しくなってきた。
どこまで失格記録が伸びるだろうか。
次はどんな手でいこう。
さて、切り替えて行こう。
次はファントムの出番だ。
俺は会場から離れると仮面を被った。
全力疾走。
俺に気づいた観客が喝采する。
「待ってた」
「ファントム」
「本物かな」
「あの速さは
俺は止まって手を上げて応えた。
「やっぱり本物は違うな」
「偽物は今回も靴から炎を出すのかな」
「恥ずかしいからやめた方がいいのに」
俺以外のファントムは足から炎を出すのをやめた奴が多数。
やっぱり恥ずかしいのかな。
それともファントム争奪戦で勝ってから、あのパフォーマンスをするのかな。
まあ別に構わない。
好きにするといいさ。
面白いのは、足から火花を出して走った奴がいることだ。
面白いな。
パクってやろう。
さて、一回戦だ。
俺は足から炎を出して入場。
そしてそれプラス、バールで地面を擦る。
バールは火花を散らした。
火花をパクってやった。
うん満足。
「では構えて、始め」
俺は、バールを地面につけると、ぐるりと回転した。
バールは火花の円を描いた。
「ファイナルサークル」
そして、バールの先で対戦相手を引っ掛けると投げた。
「場外により、
拍手が上がる。
ファイナルサークルいいな。
今日はこれで勝ち上がろう。
対戦相手を次々とファイナルサークルで葬る。
そして、決勝戦になった。
対戦相手はラバースーツを着て登場だ。
ファイナルサークルでバールの先に引っ掛けられないための対策らしい。
「では構えて、始め」
俺はファイナルサークルの構え。
そして火花の円を描き、対戦相手の足を払った。
対戦相手はゴロゴロと転がって場外になった。
「ファイナルサークル!」
「ファイナルサークル!」
「ファイナルサークル!」
ファイナルサークルの連呼が始まった。
「場外により、
わぁっと歓声が上がる。
インタビュアーが近寄ってきた。
「防衛おめでとうございます」
「ありがとう」
「ファイナルサークル、強いですね」
「あんなの弱い方の技だ」
「いくつぐらい技がありますか?」
「77手だ。77手の必殺技を破れるものなら破ってみろ。俺は誰の挑戦でも受ける」
「何か今後の目標はありますか?」
「ファントム争奪戦の防衛はもちろん、俺はスタンピード被害をなくすつもりだ。どんな抵抗勢力があろうともな」
「ファントムさんの、討伐活動を妨害する勢力があるのですか?」
「その組織は大きい。感づいている者もいるだろう。だが、彼らに対抗するのは容易ではない。彼らのスパイは至るところにいる。気をつけるのだ」
「だから偽名を使っておられるのですね」
「そういうわけだ」
上手く謎の組織を演出できた。
偽名の理由もできた。
謎の組織はどうするかな。
謎の組織の目標は、スタンピードによる地球の支配。
全てのダンジョンコアを支配下に置いている。
でそのスパイは冒険者協会にもいる。
ダンジョンは神がやっているのかな。
だとすると、神がラスボスになる。
ちょっと敵いそうにないんだけど。
ええと、そう決まったわけでもない。
まあ、臨機応変にいこう。
ダンジョンを討伐しまくれば、いるか分からないけど敵が見えてくるだろう。
モチに電話してみた。
「もしもし、ダンジョンは誰が作ったんだ」
『知らないにゃ。でもたぶん魔王だにゃ』
「魔王か。魔王なら勝てるかもな」
別の世界からの侵略なのかな。
ダンジョンの仕組みはゲームみたいだけどな。
馬鹿な俺には分からないが、そんな俺でも効率が悪そうなのは分かる。
たぶん何かあるんだろうな。
そういうことは偉い人が考えたら良い。
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