第105話 お見舞い

 弥衣やえのマグネットウルフ対策として武器強化スキルがある。

 これでマグネットウルフに刺さるようになった。

 モチとキナコは浸透撃で攻撃。


 外に砂を纏っても関係ない。

 外側が硬くても関係ないスキルだからな。

 シロガネは首筋を噛む戦法で問題ない。


【くっ、おっさんの手下強い】

【このモンスターに期待してたのに】

【硬い奴なんぞ1階層に腐るほどいる。過去動画見て来いよ】

【次のモンスターに期待】

【おっさんはヤエちゃんの100倍ぐらい強いんだぞ。いいかげんに分かれ】

【いくら強くても限界はある。ドラゴンさえくれば】

【だから過去動画】

【言っても無駄だ】


「俺もちょっと運動するか」


 マグネットウルフを叩いて回る。

 一撃で死なない奴はいない。


【動き早すぎて分からん】

【こんな酔うような動画を配信するな】

【つヤエチャンネル】

【引いて見ると動きが分かるな。でもほとんど残像だ】

【狼型はしょせん序盤の敵】

【ここからだ】

綺羅々きららちゃんに謝罪しろ】

【我々は諦めないぞ】

【はいはい】


「ふぅ、いい汗かいた。いや、嘘ついた。汗かいてないな。息も乱れてない」


【虚勢張っちゃって】

【おっさんのはぁはぁ声なんか聞きたくない】

【はぁはぁしてないだろ。幻聴でも聞こえるのか】

【アンチは自分の現実しか信じないから】


「マグネットウルフ、高く売れるといいな。ゴブリンより安かったらショックだ」


【ショック死しろ】

【買取価格1円希望】

【草生える発言ばっかりだな】

【買取場の映像はフェイク動画なんだよ】

【さくらとかいう奴がまた出てきたか】

【歴史繰り返すという奴だな】


「お前ら喜べ。綺羅々きららの所に、今日お見舞いに行くぞ」


【謝罪するのか】

【土下座しても赦さん】

【恐ろしいことに気づいた。綺羅々きららちゃんの入院してる病院をどうやって突き止めたんだ】

【もしかして、ストーカー】

【そうかもな。それで綺羅々きららちゃんに振られたものだから、逆ギレして暴行に及んだ】

【絶対それだ】


「お見舞いに言って靴を舐めろと言ってやるつもりだ」


綺羅々きららちゃんにまた暴力を振るうつもりだな】

綺羅々きららちゃんのSNSに注意するようメッセージを送った】

【ナイス】


「今日の討伐はこんなもので上がろう。もう100頭は倒したはずだ」

「はい」

「お疲れ様ですわん」

「今回は疲れたにゃ」


 買取場に行く。


「ウルフ型か。毛皮が採れるな。黒はいいかもな。ざっと見た感じ。マグネタリウムは1キロは採れそうだ。締めて100万てところかな」

「今日だけで1億か。そこそこ稼いだな」


【嘘だ。捏造だ】

【着ている物を見れば大体金回りが分かる。このおっさんは最底辺だ】

【うん、ブランド品ではないジーンズに着古したシャツ。全部で5千円いっているかどうか】

【まあそんなもんだよ】

【きっと今回のモンスターは1000円だな】

【それでも100頭で10万円だぞ】

【手下に高い金払っているに違いない】


 探偵から、綺羅々きららが病院を移ったとの連絡が。

 俺と会いたくないらしい。

 まあ捏造した動画だからな。

 本人と会っていろいろ話したらボロが出る。


 面白いから、移ったという病院に行く。


「よう」

「何でここが分かったの」


【やっぱストーカーだ】

綺羅々きららちゃん逃げて】


「お見舞いにポーションを持って来てやったぞ」


 そう言って俺は色付き水を床にこぼした。


「どういうつもり勿体ない」

「勿体ないと思うなら這いつくばって床のポーションを舐めろ」


【このクズなんてことを】

【みんな綺羅々きららちゃんを助けに行くぞ。誰か病院を知らないか】

【動画から割り出した病院に来ているけど、転院したらしい】

【くそっ、後手後手だ】

【おい、ストーカー男。綺羅々きららちゃんに指一本触れたら承知しないぞ】


「がはっ」


 綺羅々きららが血を吐いた。

 おっ、怪我は演技じゃないのか。

 俺はカメラを止めてナースコールを押した。

 そして、本物のポーションを無理やり飲ませた。


「ごほごほ、あれ痛くない」

「ポーションを飲ませた」


 俺はカメラのスイッチを入れた。


「なんで?」

「床のポーションを舐めたな。金で女なんかどうにでもなる。がははは」


 看護婦が来たので後を任せて、俺は病室から出た。


綺羅々きららちゃんに、床にこぼしたポーションを舐めさせたのか】

【血を吐いたらしょうがないけど、これは酷い】

【絶対に許さん】


 ああ、踊らされるアンチが気持ちいい。

 もっと炎上させないとな。

 ああ、あれが良いかもな。

 今度、綺羅々きららに会いに行く時はあれを持っていこう。

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