第79話 沼と砦
10階層は沼。
濁ってて浅いのか深いのか分からない。
「これは難儀しそうだ」
【沼は敵が隠れていても分からない】
【毒撒いて終わりだろう】
【そういう落ちだな】
【底なし沼だけ気をつければいい】
「棒で確かめながら歩く必要があるのかな」
「何で? 地形把握スキルがあるのに」
「そう言えばそんなのもあったな」
エラオークが浮かび上がった。
シロガネは泳いで死骸を取って来る役が気に入ったらしい。
せっせと俺の下に死骸を運んだ。
【魚にやったら違法だな】
【じっちゃんは戦時中食う物がなくて、大量に石灰を撒いたらしい。いつ捕まるかビクビクしたらしいが】
【魚に効く。植物もあると聞いたことがある】
【お前ら、違法の手口紹介してどうするんだ】
【あくまでもダンジョン攻略だから。俺は電気ショックに一票】
【水の中にいて電気ショックやったら痺れるだろう】
【おっさんなら平気さ】
「地形把握、うん地形は分かったが、記憶できない」
【猫に小判だな】
【まあおっさんなら、そういう落ちだろうな】
【描画スキルとかないのか】
「描画スキルね。もっているよ。地形把握、忘れないうちに描画」
【マッパーとして食っていけるな】
【千人を超えるスキルが集まれば、それぐらいは楽勝だろう】
全員に地図を配った。
シロガネは地図を見て頷いた。
おいおい、暗記してしまったのか。
みんな危なげなく進んでいく。
俺は地図の見方が良く分らないので大人しく後をついて行く。
【毒が凄すぎてなんも言えん】
【おっさんは完全に浮いているエラオークの回収係だな】
【浮島とか樹とか、目標物が結構あるのな】
【地図見たけど、浮島の下が深みという罠があったな。上に乗るとドボンと沈む】
【浅そうに思えて、いきなり深い所もある】
【描画スキルと地形把握のコンボは最強だな】
「見たか俺の力。奴隷千人力だぜ」
【寄生スキルは人脈さえあれば、最強だな】
【圧倒的とは言い難いので、鬼強ぐらいかな】
【おっさんは運が良かったが、千人の人を集めるのは大変】
【炎上しそうな一言をどうぞ】
「この程度のモンスターに苦戦するなんて、他の冒険者はなってないぜ。Sランクがなんぼのもんじゃい」
【Fランクのおっさんの僻みにしか聞こえない】
【毒が凄いのであっておっさんは凄くない】
「言ったな。見てろ」
俺は鉄パイプで沼の表面を叩いた。
沼の水がクレーターみたいになり水が引いていく。
そして、津波になって返ってきた。
「ちょっと、余計なことしないで」
「すまん」
【やーい、ヤエちゃんに怒られてやんの】
【パワーが凄いのは分かった】
【おっさんのソロならそうやって攻略するのもありだな】
【毒の方がスマートだ】
「水って叩いたら元に戻るのな。いや津波になって返ってくるとは思わなかった」
【池に石を投げ込んだら波紋になって岸で反射して返ってくる】
【波の基本式とかいろいろある】
【高校でやったはずだ】
「わー、聞こえない」
【コメントだから、見えないが正しい】
【めんどくさい公式ばっかりだからな】
【俺も物理学嫌い】
【波の公式は電気にも使えるから、お得感があるんだぜ】
【ちっともお得じゃない。あれはもう勘弁してほしい】
「俺も三角関数とか無くなって欲しい」
【三角関数使わない波の公式もあるぞ】
「鳥肌が立ってきた。そう言っているうちにボス部屋」
ボスは触手を生やしたオークだった。
【クトゥルフオークだな。邪神ではないが。それなりに強い】
「だらっしゃぁ」
俺はアダマンタイト鉄ハイプで殴った。
一撃で倒れるボス。
【弱くてw】
【言うなよBランクはあるんだから】
「よし次だ」
次の11階層は、荒れ地。
だが、所々に砦が作ってあるのが見えた。
あそこから遠距離攻撃してくるらしい。
「
俺はそう言うと手近な砦に向かって駆け出した。
砦からでかい矢が発射されてくる。
【バリスタか】
【砦に近づくのも骨だが、近づいてからも骨だ】
「うっし」
鉄パイプで矢を薙ぎ払った。
そして砦に近づくと全力の鉄パイプを叩きつけた。
一瞬で粉々になる砦。
【豪快だな】
【ダイヤドラゴンが粉々だから、小さい砦ぐらい粉々になる】
【モンスターは魔力をまとって強化しているんだったっけ】
【だから砦なんてのは、おっさんの敵じゃない】
砦潰しは良いストレス発散になった。
ボスは何だか分からない奴。
一番近いのはサイボーグかな。
【ゴーレムオークだな。硬い、早い、強いの三拍子だ】
「オラオラオラ」
ゴーレムオークは殴りがいがあった。
だがすぐに粉々になった。
【そういう落ちだよな】
【お疲れ】
【お疲れサマンサ】
【お疲れサンマ】
【お疲れサンバ】
【さしか合ってないぞ。お疲れサマータイム】
なんかあっさり終わったな。
ところでこのダンジョン何階層まであるんだ。
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