第67話 進む事態
6階層は荒れ地。
モンスターはゴブリンライダー。
ゴブリンがでかい狼みたいなモンスターに乗っている。
素早いだけで別に問題はない。
叩けば死ぬ。
槍を突き出して突撃してきた奴も、槍先をコツンと叩いて、頭をグシャだ。
レベルが上がっているせいか的確に敵を討ち取っていた。
【おっさんやられないな】
【こんな男が強いなんて許せない】
【武道の高段者しかり、力を持つ者には自制が求められる】
【おっさんは失格者だな。子供を殴っちゃいけないのは誰にでも分かる】
【おっさんはFランクダンジョンでは止まらないか】
【いいやここのラスボスはえぐいぞ。今から楽しみ】
【訴状届いたって奴がいるけどほんとかな】
【本当らしいぞ】
俺達は簡単にボス部屋に辿り着いた。
中に入るといたのは象ほどの猪に跨った体格の良いゴブリン。
「どっせい」
猪の鼻づらに鉄パイプを叩き込んだ。
乗っていたゴブリンが振り落とされて飛んできたので、ホームランにしてやった。
たわいもない。
【ビックボア一撃か。この力で子供を殴ったんだな】
【許せん】
【暴力男は消えるべし】
【子供が暴行罪で訴えたりしないかな】
【告訴するなら親だろ】
【警察は動いているみたいだけど】
ダンジョンから出て自宅に戻ると、警察から呼び出しが来てた。
行くと取調室にに入れられた。
「子供を殴った時のことをお聞かせ願えますか?」
「子供がダンジョンに入っていくのが見えたので、後を追いかけた。そして制止したんだが、言うことを聞かなかった。腕をつかんで止めたら、噛みつかれて、平手で殴った」
「それですと、あなたの方にばかり非があるとは言えないですね。証拠は?」
「動画をアップした小学生が編集されてない録画データを持っているはずだ」
「なるほど。その子にも話を聞かないといけませんね」
それから同じ事を何度も聞かれ、それに答えた。
それから何時間か経ってから解放された。
家に帰ると
内容は放っておいてほしいというものだった。
俺はメールアドレスと、殴ったことの謝罪と、君の置かれた状況を改善できるという内容の返事の手紙を書いた。
家は分かっているので直接ポストに入れる。
メール来るかなと思っていたら、【大人は嘘つきだ】というメッセージがきた。
【殴ってごめんな。分かるよ先生に相談したんだろ】と書いた。
【なんで知っているの?】と返事が来たので、【俺は知っているさ、何もかもな】と書いた。
そして続けて、【今の状況を劇的に変える方法があるけどやるか?】と書いた。
【やる】と短い返事。
【戦うんだ。ただし、暴力じゃない。痛い思いなんかしなくて良いんだ】と書いた。
【本当?】
【ああ、虐めた奴や、みて見ぬふりをした先生を裁判所に訴えればいい。裁判費用なら出してやる。そして虐めがない私立の学校で出直すんだ。その費用も虐めた奴と先生に払ってもらうから心配要らない。君は質問に少し答えれば良いんだ】
【やるよ】
【よし、弁護士の先生を家にやるから、親も交えて話し合え】
【うん】
やっと事態が進んだ。
弁護士の先生に電話した。
これで訴状が作られて、虐めていた奴らは裁判に掛けられる。
うちのお抱えの弁護士は凄腕だから私立の授業料や慰謝料などの金額を分捕ってくるに違いない。
コボルトとケット―の子供からは、
俺はあの日の時の状況を思い出した。
たしか別の冒険者もいた。
彼らに証言して貰えないだろうか。
そう思って冒険者協会に依頼をだした。
情報提供すれば10万から300万までの金額を支払いますと。
そうしたところすぐに反響があった。
あの殴った時のやり取りや、いじめっ子がダンジョンに入るように命令してる動画もあった。
これを撮った冒険者も内心ではどうにかしてやりたいと思っていたらしい。
俺は動画のコピーデータを警察に提出。
こんな物があるのならもっと早く出して下さいよとイヤミを言われたが、最後に協力ご苦労様ですと言ってくれた。
今は映像が撮られている時代だ。
とくにダンジョンの中は無法地帯なので、みんなカメラを回している。
冒険者同士のいざこざとかは映像データがあれば冒険者協会の仲裁もやり易い。
裁判になっても状況の把握がし易いと楽なようだ。
他の冒険者に救われたな。
彼らには感謝だ。
警察に提出した映像をSNSとかで拡散させたりはしない。
司法機関が分かっていればそれでいい。
俺は悪党だから、周囲には悪で貫き通すさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます