第64話 子供殴り事件
3階層は森だった。
足に何か引っ掛かったと思ったら丸太が飛んできた。
ゴブリンが仕掛けたトラップだろう。
鉄パイプ一閃、丸太を弾き飛ばした。
そうしたら、ブランコみたいに丸太が戻ってくるではないか。
俺は丸太を片手で受け止めた。
「めんどくさいトラップだ」
【飛んで来る丸太を受け止められるのは凄い】
【レベル10000超えは伊達じゃないって】
【寄生スキルの分も増えているしな】
【このダンジョンはどうなん?】
【Fランクダンジョンだと舐めて掛かると大変だ】
【そうそう、まだ未制覇ダンジョンだからね】
【ダンジョンコア欲しい。プレゼントして♡ お願い♡】
【いくらおっさんでも苦戦すると思う】
矢が飛んできた。
そして投石も。
姿を見せろって言うんだ。
何匹かゴブリンを仕留めたら、盾を持ったゴブリン達が現れた。
後続には剣を持っている奴と杖を持っている奴がいる。
「待ってました」
俺は連撃を加えるべく、肉薄した。
ズボっという音がして、下半身が土に埋まる。
【落とし穴だな】
【見りゃ分かる】
俺はゴブリン達に滅多切りされた。
「ふんがー」
俺は踏ん張れない体勢で鉄パイプを振るった。
ミンチになっていくゴブリン達。
【手打ちでもゴブリンがミンチになるのな】
【おっさん強いな。搦め手が全く効かない】
【といってもゴブリンだけど】
【パーティは厄介だ。脅威度が1ランクは上がる】
ゴブリン達は一時的に退くようだ。
ゴブリンの魔法使いが詠唱に入った。
俺は落とし穴から出た。
降り注ぐ火球の数々。
俺は鉄パイプ連打で霧散させた。
ゴブリン達は呆気にとられた。
俺はゴブリンの一団の真ん中に飛び込んだ。
そして鉄パイプで回転薙ぎ払い。
ゴブリンの一団は吹き飛ばされた。
立ち上がれるゴブリンはいない。
「ゴブリンがいるところならトラップはないだろ」
【脳筋解決法】
【物理でなんとかなる敵は叩くべし。シンプルで良い】
それからトラップは全て力技で突破した。
蚊に刺されたぐらいのダメージでは気にする方が間違っている。
3階層のボスはレッドキャップと取り巻きだった。
もちろんトラップはあったがサクッと粉砕した。
今日はここまでだな。
カメラを止めて、ポータルに登録して、入口まで転移で戻る。
ダンジョンの入口をふと見ると小学生の一団が見えた。
危ないぞ。
と思ったら、小学生の一人がダンジョンに入って行くではないか。
俺は小学生を追った。
入口から入ったところでビクビクしていたのですぐに追いついた。
「ここは危険だぞ。遊ぶのなら別の場所にしろ」
「僕に構わないで」
聞き分けのないガキだな。
腕を掴んで制止するが、子供は行こうとする。
子供が俺の手に噛みついたので、俺は少し頭に血が上った。
「このままだと死ぬぞ。モンスターを侮るな」
「……」
どうやら小学生は噛みついたまま、俺を無視することにするようだ。
言って聞かないなら。
俺は小学生の腕を離し軽く平手で殴った。
ふっとぶ小学生。
ごめん、やり過ぎた。
気絶している小学生を外に運んで、冒険者協会の救護所に事情を話して小学生を置いて帰った。
救護所の医者の話では大丈夫とのこと。
一応MRIを撮るが、何かあったら連絡すると言われた。
家に帰ってから、しばらく経って、SNSを確認すると、炎上してた。
【小学生に暴行するなんて信じられない】
【おっさんもいよいよ刑務所行きか】
【たぶん、執行猶予付くよ】
【こんな男を野放しにしておいて良いんですか】
【みんなで警察に通報しましょう】
そして、刑事が事情を聴きにきた。
俺は状況を説明。
「それでも殴ったら犯罪だよ」
「子供に謝りたい。名前と住所を教えてくれないか」
「被害者のプライバシーは明かせない」
弁護士を通じて声明を発表させてもらうか。
炎上は止まらなかった。
暴力を認めたのは潔いが、やったことは容認できないという意見が大半だ。
「
「謝罪するしかないのは分かっている」
「
「炎上させようとしているのか。あの子供がやったのかな」
「何かきな臭いわね。私立探偵を雇ってみる?」
「そうだな。被害者にも謝りたい」
大変なことになった。
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