第58話 レールガン
「強力な遠距離攻撃が必要だ」
「ならレールガンがお薦め」
「勉強は嫌だぁ」
「駄々こねないの。磁場と電気の流れだけだから簡単よ。図を描いてあげるわ」
ふんふん、わりかし簡単だ。
1階層で試射することにした。
「レールガン」
鉄の塊がセラミックの筒から、凄い勢いで射出された。
これならアイアンクロウにも通用する。
ただし、狙いが定まればだ。
必中スキルもあまり役に立たないだろうしな。
あれは魔力の力で誘導しているに過ぎない。
激しく動く的だと当たらない場合もある。
レールガンの弾は早い。
スキルの修正もほとんど効かないだろう。
「
「見えない砲身を作ってゼロ距離狙撃よ」
【ゼロ距離はロマン】
【実際は暴発するけどな】
【30センチも離れていれば平気だろう】
「ええと見えない砲身というと」
「風魔法、重力魔法の力場もあるんじゃない。結界魔法も使えるかも」
色々とやってみて結界魔法が一番良かった。
魔力操作で強度を増せるからだ。
位置も自由に動かせられる。
今日はこんな感じで終りにして、コボルトとケットシーがやっているタスチューブのチャンネルを見た。
アンチコメントはない。
管理している者が幾人かいて即ブロックしている。
映像は酸の採取。
グラトニーの体の採取。
アイアンオーク、アイアンゴブリン、アイアンスパイダーの討伐など多岐にわたる。
介護の現場の映像もある。
こちらは老人の顔にはぼかしが入っている。
ライブ配信ではないようだ。
子供達のフットサル映像もある。
はっきりいって盛況だ。
俺のチャンネルより流行っている。
何でだ。
ちょっと悔しい。
「何やったら受けると思う」
俺はカメラを机に置いて語り掛けた。
【おっさんのところのモンスターは地味だからな。他所だと3メートル超えは珍らしくない。迫力が違う】
【強さが買取金額でしか伝わらない】
【ヤエちゃんの水着回は良かった】
「裸がいいのか」
そう言って俺は上半身裸になった。
【良い筋肉だ】
【そっちの気はないんだよ】
【良い体ね。お姉さんと遊ばない♡】
【モデルやったら、人気が出てチャンネル登録者数増えるかもよ】
「そのまま。目に焼き付かせるから」
【生で見られるなんてうらやましい】
【写真集でも出せよ】
「写真集やってみるか」
近所の写真館のおっちゃんに頼み込んで写真を撮る。
花を一輪咥えた写真なんか恥ずかしい。
A4の写真用紙にプリンターで印刷。
クリアファイルに入れて完成だ。
コボルトとケットシーの子供達の学校のアンテナショップで写真集を売る。
売れないかと思ったら買っていく人がいる。
まあ、俺のは
調子に乗った俺はモチとキナコの写真集を作った。
俺のよりモチとキナコの方が売れているだと。
なんたることだ。
買ったのは、主にコボルトとケットシー。
そりゃ売れるよな。
二人は英雄なのだそうだ。
解放のきっかけを作ったので尊敬されている。
討伐する時、俺と同伴を許されているのもポイントが高いらしい。
コボルトとケットシーには俺のを買えよと言いたいが、畏れ多いのだそうだ。
まあいい。
写真には動画チャンネルのサイトのQRコードも載っている。
宣伝にはなるだろう。
「どうだ、写真集出したぞ」
【自費出版だがな】
【俺、キナコとモチのやつを買った】
【何でヤエちゃんのがないんだ】
【次は歌かな。CD出せよ。わりかし安く出来るぞ】
「歌は駄目だ。苦手だからな」
【じゃあダンスだな】
「身体能力には自信がある」
俺はダンスの動画をアップした。
バク宙とかが入ったダンスだ。
アクロバットみたいになってしまったが、まあいいだろう。
【ダンス動画良かったよ】
【体操みたいだったがな】
【おっさんの身体能力がよく分かった】
【あれだけ動ければ、強いのも頷ける】
【CGとか言ってた奴に見せてやりたい】
ダンス動画は好評のようだ。
調子に乗った俺はモチとキナコにやらせてみた。
あいつら、何であんなに体が柔らかいの。
あの真似はとてもできない。
モチとキナコのダンス映像の再生回数は俺のダンスを上回った。
くそっ、負ける宿命か。
今日はもう辞めだ。
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