第27話 水鉄砲の威力

 パワーレベリングをすること2週間。

 防護服と洗面器と水鉄砲出来上がった。

 さっそく酸の採取だ。

 弥衣やえが洗面器を担当したいというので、防護服を着せた。

 そしてアイアンスライムを追い詰める。

 アイアンスライムが酸を吐いた。


 弥衣やえは洗面器でそれを受け止めた。

 酸の飛沫が防護服に掛かるが白煙は上がらない。


 成功だ。

 ミスリルの水鉄砲に酸を詰めた。

 そしてオークグループと対峙した。


 盾オークに向かって弥衣やえが水鉄砲を撃つ。

 盾オークの盾は溶けて、盾オークの腕からも白煙が上がった。


 盾オークは溶けた残りの盾を吠えながら投げた。

 その軌跡は炎となった。

 くそっ、必殺技を撃ちやがった。

 俺はその盾を鉄パイプで撃ち落とした。

 盾オークは水蒸気を出して固まっている。


 チャンスだ。

 俺は盾オークに呪いの一撃をお見舞いした。

 こいつはもうこれで脅威じゃない。


 弥衣やえは斜め上に向かって水鉄砲撃った。

 槍オークと剣オークから白煙が上がる。

 だが直撃ではないのでダメージが少ない。


 槍オークと剣オークが吠えた。

 大技がくる。


 俺は槍オークの投げられる槍を待ち構えた。

 炎の尾を引いて槍が弥衣やえに向かって飛んだ。

 俺は槍を撃ち落とした。

 剣オークが俺に向かって燃え盛る炎の剣を振り下ろす。

 俺は何とか鉄パイプで受けた。

 くうう、ジンとくるぜ。


「コリがほぐれてちょうど良い」


 強がりを言ってみた。

 槍オークと剣オークは水蒸気を出して固まっている。

 俺はそれぞれに呪いの一撃を加えた。


 もう大丈夫。

 勝ったも同然だ。


 そして、弥衣やえが槍オークと剣オークと盾オークの顔面に酸を発射。


「「「グォォォ」」」


 オーク達は目をやられたらしい。

 俺は止めを刺す作業をこなした。


【酸の水鉄砲は使える】

【今回ヤエちゃん大活躍だったな】

【それに比べて底辺おっさんのせこさよ】

【そうだな。ヤエちゃんが囮になってたものな】

【ぶっかけたらヘイトが向くのは仕方ない】


弥衣やえ、よくやった」

「あと2丁の水鉄砲を作りましょう。そうすればもっと簡単に勝てるはずです」

「戦いたいわん」

「にゃーは水鉄砲充填係でいいにゃん」

「じゃああと1丁だな」

「にゃーにはミスリルの手袋と長靴を作ってにゃ」


「もちろん良いぞ」


【あれってミスリルじゃなくてアルミなんじゃ】

【底辺おっさんの設定ではミスリルなんだろ。分かってやれよ】

【それでも特注はそれなりする】


 水鉄砲と手袋と長靴を注文したときは職人に渋い顔されたが、洗面器よりましかと言って作ることをオッケーしてくれた。

 水鉄砲が使えることが分かったので、装備ができるのを待つ間、パワーレベリングと酸を採取する作業に戻る。


 そして、1週間。

 装備ができ上がった。

 よし、ええと。

 ○○パーティ出撃と言おうとして、パーティ名がないのに気づいた。

 底辺おっさんパーティじゃ締まらないよな。


「ええとパーティ名は、ギャングマフィアにしようか」

「恰好悪いわね。ノワールフェイスにしましょう」

「うんなんか恰好良い」


 俺はカメラのスイッチを入れた。


「ノワールフェイス出撃」


【ぷぷっ厨二がいる】

【言ってやるなよ。僕が考えた最強のパーティ名なんだから】


 弥衣やえがコメントを見て顔を赤くした。

 恥ずかしかったらしい。


「俺のヒットポイントはもうゼロよ。だが命名のことは悔いぬ」


【まあ、面の皮が厚いおっさんならそう言うと思ったぜ】

【でもダメージにはなったらしい】


 俺は弥衣やえの頭をぽんぽんと叩いて慰めた。


【そのぽんぽんには何の意味が】

【ヤエちゃんがパーティ名を恥ずかしがったので後で、お仕置きなという合図じゃね】

【そのために厨二臭い名前をつけたのか】

【クズ孔明ここに極まれりだな】


「その通りだ。今夜は寝かせない。どんなことをするかは想像に任せる」


【はよ討伐に行っておっさんだけ殺されてこい】

【そうだ氏ね】

【死ぬなら貢いでからにして】


「じゃあ行くか」


 装備の整った俺らはアイアンオーク達を蹂躙した。

 こりゃスライムは殺さないで酸を出す機械になってもらおう。

 そういえば即死の蜘蛛毒もあったな。

 あれはなぜか俺達に毒が効かないから安全に採取できるだろう。

 水鉄砲に使ってみたいな。

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