橘しずる

 私の暮らす付近に、雨の日になるとトンネルの出口にある街頭の下に人が立っている………

 そんな怪談がある

 

「心霊スポットだろう?」

 そんなことを言う人もいる………しかし、心霊スポットではない

 

 そのトンネルは、職場と住まいを往復する道の途中にある生活道路なのだ

 車通りが激しく、人の行き交いがあるトンネルだ

 いくらか都会的なところで、零時を過ぎないと寝静まることはない

 ある日、私は職場近くのスーパーに行くことにした……「24時間スーパーだから、大丈夫だけど、9:00過ぎか」……迷いながらも身支度をして家を出た

 トンネルの付近に着いたとき、パラパラと雨が降り始めた………携帯の傘をひろげ、歩き出す

「あれ? 出口に人の姿が……」

 帰宅は遅い方だが、見たことのない女子高生が街頭の下立っている

 トンネルをくぐり出口に向かうと、女子高生の姿がない……「あれ? おかしな」

 なんとなく、ひんやりとした空気が私を包んだ感じがした……ゾクッと身震いをして、買い物を済ませてしまおうと小走りに走った

「疲れているんだわ」

 私が見た女子高生は、気のせいなんだと言い聞かせて、スーパーに向かった

 買い物を終え、帰路についた

「なんだか、トンネルの街頭を通りすぎたくないな」

 私はゾクッと身震いをする

 さっきの女子高生は誰だったのか?

 体の芯から冷えるような……悪寒に近い状況はなんだろう

 雨は行きより、強くなっていた

「早く帰宅をしょう」

 私は早足で、もと来た道を進んだ

 しばらくして、トンネルの街頭が見えてきた

 街頭の下に人影がある………「さっきの女子高生だわ」 私の足はぴたりと止まった

 どうしょう………トンネルを抜ければ、アパートはすぐだ……でも……背中が寒くなっている

「無視をしょう……」

 小声で呟き、トンネルに向かった

 街頭をすぎ、トンネルに入ろうとした時……

「…………入らないで……行かないで………」

 背中から女性の声が聞こえた

 振り向いたらダメ………前に進もうとしたが

「!!!!!!………金縛り」

 トンネルの入口付近で、身動きが取れなくなった

 その刹那………自宅の方から、スピードをあげたバイクがトンネルの出口付近でスリップをして、トンネルの壁面に衝突をした

 バイクに乗っていた人は衝突した壁面の反対側に体を叩きつけられた

「何が起きたの? 警察と救急車………」

 そう考えていた時に、金縛りが解けた

 携帯で警察に連絡をして………帰宅が零時をすぎてしまった

「もし、トンネル内にいたら巻き込まれていましたよ」とお巡りさんに言われた

 自宅に戻って、思わず身震いをした

 ひしひしと恐怖がわいてくる……

「あの女子高生は、助けてくれたのかな? それとも、あのトンネルで亡くなったことを………」

 次の日から、夜の外出はしないようにすることを決めた

 

 

 

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橘しずる @yasuyoida

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