逝った幼馴染に、ネトゲ内で再会してしまった件!?……何で町娘として暮らしてるんだい!?

まきノ助

第1話ネトゲにログインしたら、逝った幼馴染が待っていました。

 夕暮れ時、中学2年生の俺は家に帰るとスグ、いつものように惰性でネトゲにログインしていた。

 交通事故でった幼馴染、マリちゃんのお葬式から帰ったばかりだったが……。



 フラフラと何時いつものように始まりの町の中心広場に行くと……。


「うんっ!?」


 何と、そこには町娘まちむすめ姿の幼馴染マリちゃんが待っていた。



「マ、マリちゃんっ!?」


「あ!やっぱりケンちゃんなんだね? ほっ!良かったぁ。 トラックにはねられたと思ったんだけどぅ、気が付いたらここに居たんだよねぇ。……なんか見たことあるような気がするなぁ。と思ったら、ケンちゃんがハマってるゲームの中だったんだねぇ!?」



「……そういえば、俺んに来た時にゲームを見てたよね……」


「ケンちゃんってば、私をほっといてゲーム続けてたよねぇ…プンプンッ!」



「ごめんよぅ……あっ、だからこんな形で化けて出てきたのか?」


「まぁ酷い! けてなんか無いよっ、わたしちゃんと生きてるわ!」


「そ、そうなの…かな…ぁ!?」



 マリちゃんは隣りに住んでいて、物心ついた頃から家族ぐるみの付き合いをしていたので、お互いに我が家の様に出入りしていた。



「ところで今、マリちゃんのお葬式の帰りなんだけど……マリちゃんって、こっちの世界に帰れるのかなぁ!?」


「帰れないと困るよぅ!」


「そうだよねぇ……」


(でも、もう火葬も済んじゃったし……それにもしネトゲのサービスが終了したら、マリちゃんはどうなるんだろう?)


 俺はその事をマリちゃんの前で口に出す事が出来なかった……。



 その時突然、


『『『ヴゥウウウウウッ!ヴゥウウウウウッ!』』』


 町の広場にサイレンが鳴り響いた!


『『『緊急クエスト発生!! 緊急クエスト発生!! 絶倫オーク(発情中のオス)の大群が町に向かって進撃中! 冒険者達よ町の女性を守るのだ!』』』



「マリちゃん俺から離れないで!」


「うん、ケンちゃん」



 俺はそれなりに自信がある、既にオーク討伐イベントを経験していたから。ずは【鑑定】スキルでマリちゃんのステータスを確認してみよう。

 マリちゃんのステータスは、普通の町娘のステータスだった……たぶんオークに簡単にヤラレてしまうに違いない。


 ちなみに俺のステータスは中々のものだ、何たってプレイヤーは勇者を目指すのだから。その為にそれに向かって日々経験を積んでいたんだし。



 マリちゃん以外のNPCも騒ぎあわてふためいている。自由度が高いゲームで、NPCもAIで生きてるようにふるまっているらしく、遠くから女性の悲鳴が聞こえてきていた。




 〇 ▲ 〇



 小一時間後、


『パンパカパーン!! オークの群れを全て討伐しましたぁぁぁっ!  討伐貢献度によって褒賞が与えられますでしょう!』


 勿論、俺が活躍した事は言うまでもない。マリちゃんのみさおも無事に守った。



「ねぇケンちゃん。また魔物が町に入って来ると怖いからぁ、私もステータスを上げてスキルも覚えたいのっ!」


「う~ん、プレイヤーじゃなくても経験値を得る事が出来るのかなぁ?」



 再び【鑑定】してよく見ると、マリちゃんのステータス欄の下の方に経験値欄があった。

 職業欄も【フラワーガール】LV1に成っているし、スキルも【花祝福】ってのを持っている。


【フラワーガール】と言う職業は未婚少女限定の結婚式アシスタントで、とても可愛らしい少女という設定になっているらしく、結婚式の時に入場する花嫁のウエディングドレスの裾を持ったり、花束を持って付き添う役目の少女の事らしい。


 このゲーム内ではプレイヤー同士でもNPCとでも結婚できるようになっているし、結婚式をあげると特別なアイテムがもらえるとも聞いていた。


 ちなみに俺はまだゲーム内で結婚はしていない。



 さらに【花祝福】をクリックすると概要欄が現われて、『花弁を他人の頭に振りかけるとその人を【祝福(その人の必要を満たす)】できる』と書いてあった。


 パーティに入れて冒険者登録もさせよう、1人きりにしておくと他のプレイヤーに言い寄られる事が心配だから。マリちゃんも知り合いが他にいなくて不安で離れたくなさそうだしね。



 ところでゲームの中でも逝ってしまったら彼女はどうなるのだろうか? おれが守ってやらないと! スローでマイペースな彼女の生活を守る為に必死で頑張るしかないよね。


 そう考えていたら……。


貴方あなたもこっちの世界でマリちゃんと暮らしませんか? イエス オア ノー』


「えっ、なんだって!?」



『私は、この異世界の女神ですが、あなた方の世界のゲームにとっても魅了されました。 だから私の世界をあなたがプレイしているネトゲ世界の様に改変したのです。 トラックにひかれる幼女の身代わりになって逝った人達をこれからジャンジャンバリバリ【転生】させちゃおうかなぁって思っているんだけどぅ。 マリちゃんの幼馴染のケンちゃんを特別に幼女の身代わりになって無くても【転移】させてあげましょう。イエス オア ノー』


「ん!? 【転生】じゃなくて【転移】なんですか?」


『だってケンちゃんはまだ逝って無いじゃない。いくら女神でも管轄外の世界の人間の命を奪う能力は無いもの。逝ってそこの世界の物理のかせからはずれた魂なら、引き寄せる事が出来るけどね。イエス オア ノー』



「……【転移】はオッケーなんだっ!?」


『いいえ。今回は特別にあなたの世界の女神のオッケーも貰ったわ。彼女はマリちゃんを助ける為に特別だって言ってたわよ。イエス オア ノー』



「……もしかして俺って、こっちの世界にあまり要らない子だったのかなぁ?」


『そんな事無いわよ。だからあなたの世界の女神と話し合った結果。一定の条件下の元で行き来できる事にしたのよ。特別だからね。イエス オア ノー』


「だったら勿論…イエスッ! ポチっとな!! 


 マリちゃんっ、今行くよぉぉぉっ!!」


 キュイイイイインッ!





 めでたしめでたし…。

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逝った幼馴染に、ネトゲ内で再会してしまった件!?……何で町娘として暮らしてるんだい!? まきノ助 @mayu49nancy

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