第27話 再びキュービダンジョンへ
レイとマリーは同じベッドで寝ていた。昨日レイが告白し、マリーが受け入れたからだ。ゲームなら一つのトゥルーエンドで終わっていたかもしれないが、リアルではそうはいかない。
奪われた仲間を取り戻す為、強くなる為、レイはダンジョンに向かった。
「ミスト。ダンジョンの中を移動できる魔法はないのか?」
「ない。ダンジョンから脱出する魔法だけじゃな。それより昨日はお楽しみじゃったな。」
「なっ!?見てたのか?」
「お主・・・わかってて言ってるじゃろ?」
「まあな・・・」
「俺様は気を利かせて外に出てたぜ。」
「ありがとなフェニク。でもそっか〜。やっぱり又最初から降りていかないとダメなのか。めんどくさいな。」
「お主サラッと流しおったな。まあそもそもダンジョンとはそう言うもんじゃろ」
いやいや普通は、前行った所から再開できたりするでしょ。それかキュービの里に転移できたり。まあ無理なのに言ってもしょうがないか。
レイ達は4日かけて、地下30階のキュービの里にたどりついた。
「ようやく着いたわね。」
「ああ。だけど4日もかかってしまった。時間も限られてるって言うのに。」
「焦っちゃダメよ。レイならきっとやれるわ。私も一緒に頑張るわ。」
マリーに告白してよかった。弱音を吐いてもマリーが助けてくれる。ネガティブになるな。ポジティブだ。笑う門には福きたるって言うだろ。ちょっと違うか。まあなんでもいい。ようやく地下30階まできたんだ。目指すは地下60階エンキの所だ。
「それでミストにお願いがあるんだけど。」
「ミストに?魔法の事?」
「ええ。攻撃魔法を使えるようにはなったけど、正直私の魔法じゃ、魔物が強かったらあまりダメージも与えれないし、MPの無駄使いだと思うの。」
「そんな事ないと思うけど。」
「いいえ。そんな事あるわ。だから私考えたんだけど、レイの力とか魔力を上げる魔法はないかな?って。すでにレイは私より強いわ。意味のない攻撃魔法よりもレイを強化する魔法の方がレイの役に立つと思うの。」
なるほど。バフか。どれだけの上昇率があるのかはわからないけど、たしかにそれは有効だ。魔法をバカバカ撃つよりも魔力の節約になるし、魔物に与えるダメージも増えるだろう。
「ミスト?どうだ?」
「もちろんあるぞ。妾はいつも一人じゃったからそういった魔法はあまり使った事がないが、マリーは良い所に目をつけたな。しかもマリーは回復魔法や防御魔法の支援系が得意じゃ。適正もありそうじゃの」
「マリー。ちゃんとあるって。しかもマリーは適正があるみたいだぞ。」
「本当?やった!これで役に立てる」
「いやいや、すでにマリーは十分役に立ってるよ。」
「もっと役に立ちたいの!そ、その・・・恋人として・・・ね。」
「マリー。」
「熱いの〜。そうと決まれば早速特訓じゃ。レイ、マリーに伝えるのじゃ。」
その後ミストの指導の元、マリーは力をあげるパワーアップ、魔力を上げるマジックアップ、敏捷を上げるスピードアップの魔法を覚えた。
上昇率はどれも2割だ。熟練度が上がれば、上昇率5割の上位魔法も自然と使える様になるらしい。
ゲームならこういった魔法は1回の戦闘事に使う必要があるが、リアルなら効果は1時間程続くらしい。
マリーのおかげでよりレベリングがしやすくなったのは言うまでもなかった。
俺のレベルの上がりが悪くなるまでは、地下31階から地下35階までを行ったり来たりしながらレベリングをする事になった。
マリーには申し訳ないが、寝ている時に魔物に囲まれました。じゃ目も当てられない。せっかくキュービの里という安全エリアがあるのだ。利用しない手はないだろう。
マリーの強化魔法を受けて、俺が魔法で攻撃して前に出る。魔法はとても便利だ。剣なら1体しか攻撃できないが、魔法なら3体同時に攻撃する事もできる。傷つけても後ろに控えるのは聖女と言われるマリーだ。安心できる。
俺は魔法を使って使って、剣で斬って斬って斬りまくった。
俺の今のレベルは50だ。地下35階に出てくる魔物のレベルは70。少なくともレベル65ぐらいになるまでは先に進むつもりはない。
マリーの強化魔法のおかげでレベリングは捗った。前回以上に1日に倒す魔物の数が増えたのだ。
俺のレベルは順調に67まで上がった。マリーはレベル86だ。マリーのレベルからすると格下なのか、レベルの上がりが悪い。マリーには申し訳ないと思う一方、面白いようにレベルが上がる俺はレベリングを楽しんでいた。
このままいけば2ヶ月の間にカンストレベル125まで行くのも訳ないだろう。いやそれはないか。ちょっと軽口をたたいてしまったがそれ程にかなりのペースでレベルが上がったのだ。
明日からはもう一つ上のステージ、地下40階を目指そうと思う。ここまで来るとキュービの里に戻る事もできないから効率も多少落ちるだろう。
一つの文句も言わず俺についてきてくれているマリーに感謝しながら俺は眠りについた。
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