第26話 買い物と告白

「レイ。ダンジョンでレベル上げしたときに思ったけど、やっぱり一番必要なのはMP回復ポーションよね?」


「そうだな。HP回復ポーションはマリーの回復魔法があるし俺も使える。必要最低限でいいだろう。それで言えば状態異常回復ポーションもだな。MP回復ポーションだけはどうしようもないしあるだけ購入したいな。後は装備品か。MPを増やす装備品とか、MPの消費を抑える装備品なんかがあればベストなんだが・・・」


「探せばあるかもしれないけど、きっと高いわよ。食料にMP回復ポーション、レイの剣だって買い換えないといけないわ。ダンジョンでけっこう稼いだけど、それ以上に買いそろえるのは無理かもしれないわね。」


「だよな。今回のダンジョンは長い。食料だって正直言えば多めに持っていきたい。必要最低限だと辛い。マリーの食事はうまいし、おいしいモノを食べればやる気も出る。デザートとか紅茶なんかも持っていきたいな。」


「それは賛成ね。どうしても簡単な食事しか作れなかったから色々作れるのは腕がなるわ。そうなると調理器具もいくつか揃えないといけないわね。」


「そこは最優先で妥協せずに購入しよう。収納魔法で全部持って行けるんだ。必要なモノがあれば言ってくれ。料理も言ってくれれば俺も多少は手伝えるから。」


「いいえレイ。料理は私に任せて頂戴。私がレイの為に作ってあげたいの。」


「マリー。ありがとう頼りにしてる。」


「うん。」


これ絶対俺に惚れてるだろ。ゲームじゃそんなイベントなかったけど、プレイした人100人中100人がレイドールとローズマリーはエンディングの後、結婚したと思ったはずだ。リアル人生なら、明日何があるかわからないんだ。後悔しないようにしないとな。問題はどこで告白するかだな・・・。どこか良い場所はないか・・・。


「大聖堂なんか良いのではないか?今のレイなら往復も可能じゃろ?あそこなら雰囲気もちょうど良いぞ。」


「当然のように心を読むなよミスト。だけどまあたしかにあそこは丁度いいな。」


大聖堂でって、もはや告白と言うかプロポーズだよな。指輪なんか持ってないけどいけるか?ここで給料3か月分の指輪を買うっていう選択肢もあるが、それをすると他のモノが買えなくなる。そんな事してもマリーは喜ばないよな。それは間違いないな。指輪はないけど、その事は素直に伝えるか。


「ありがとなミスト。ミストとの付き合いはまだ短いけど、ミストはすでに俺にとって大事な存在だ。これからもよろしくな。」


「な、なんじゃ急に!?そんな事言われたら困ってしまうわ。」


姿が見えないけど照れてるな。ミストの事も考えないとな。あっ、それより今日はマリーだ。ほったらかしにするわけにはいかないな。


2か月は余裕に賄えるだけの食糧、レイの新しい剣、MP回復ポーションと必要なモノは全て購入できたので、二人は明日に備えてゆっくりと食事をしていた。


「思ってたモノは全部買えたわね。この後キュービに移動するの?」


「いや移動は明日にしようと思ってるよ。少しはゆっくり休まないと。」


「いいの?明日転移したらMPが無くなって明日は一日動けなくなるわよ。」


「いいんだ。2か月のダンジョンは長い。今ぐらいはね。」


それに今日はこの後転移で移動する予定があるんだ。キュービにはさすがに行けないな。


「そう。レイがそういうならわかったわ。」


その後もたわいない話でゆったりと食事をしたレイは・・・


「マリー。実はちょっと連れていきたい所があるんだ。いいかな?」


「連れていきたい場所?どこなの?レイがそんな事言うなんて珍しいわね。」


「それは着いてのお楽しみだよ。ビックリさせたいから目をつぶってもらっていいかな?」


「目を・・・わかったわ。」


レイはマリーの手を取り、転移魔法を発動した。


「フェニク。周りに人がいないか見ててくれないか?」


「しょうがないなー。俺様もレイが告白する所を見たかったがレイのいう通りにするぜ。その代わり絶対成功させてこいよ。」


「わかってるよ。」


フェニクがフラフラとレイの元を離れていくのを確認して、レイは握っているマリーの手を放し、肩に手をやる。


「目を開けていいよ。」


「!?ここって・・・もしかして?」


「そう大聖堂の裏だよ。マリーと出会った場所だ。」


「どうして・・・」


「マリー・・・俺は、俺はマリーが好きだ。聖女のやさしさも元気な所も楽しそうに料理を作る姿も。あの時マリーを戦いに連れて行かなかったのはマリーを死なせたくなかったからなんだ。帰ってきたら伝えようと思ってたんだけど、あんな事があって結局伝える事ができなかった。だけど・・・魔王を倒したらとか、キュビ達を助けたらとかそんな言い訳をして先回しにしたらいつまでも伝えられないと思った。だから今しかないと思ったんだ。」


「レイ・・・」


「ファンドラで王様にも言ったけど、全てを捨ててマリーと二人で生きていきたい気持ちもある。今の生活はメッチャ楽しいし。だけど、俺はボルテックスを許せない。今すぐ結婚する事はできないが、俺を支えてくれないか?好きだマリー。」


「レイ・・・レイ!もちろんよ。ようやく言ってくれた。うれしい。本当は最後の戦いに付いていきたかった。死んだと聞いたとき目の前が真っ暗になって私も死のうと思った。生きているって聞いた時、これからは絶対傍を離れないと思ったわ。レイの事はわかってる。こちらこそお願いします。」


「マリー。」


「レイ。」


その後、レイはそっとマリーに口づけし、レイとマリーは初めて一緒に泊まった宿屋に消えていくのだった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る