第19話 キュービの里にいる神獣様!?

「レイドールだコン。」


「キュビがいないコン。」


「ローズマリーもいるコン。」


「ボルテックスがいないコン。」


「フェニクはいないコン。」


キュービの里を訪れたレイ達。キツネ達はレイ達の事を覚えていたみたいで、すんなりと里に受け入れられた。


今は、里の長の元で事情を説明していた。もちろんモフモフを堪能しながらだ。


「そういう事じゃったか。なるほど。だからキュビもボルテックスもいなかったのじゃな。それにしてもボルテックスがそんな事をするとは・・・」


「俺様も封印されたがレイのおかげで元に戻れた。あの野郎は絶対ゆるさねぇ。」


「キュビ達を助ける手がかりがあればと思ってここに来たんですが・・・」


「一度封印されて聖獣の珠になったなら解放する方法は二つしかない。聖獣マスターの力を持つレイドールが直接触れるか、聖獣の珠を破壊するかじゃ。じゃがボルテックスは聖獣の珠を手放さんじゃろう。有用性にも気づいているはずしゃ。」


「有用性?」


「うむ。レイドールは知ってると思うが、我々聖獣と契約した者は大いなる力を手に入れる。そしてそれは聖獣の珠を持っている者も同様なのじゃ。」


「それは本当ですか?」 


長の話通りなら、ボルテックス達かなり強くなってるじゃん。まずいな。キュビ達を取り返すのも難しくなるし、魔王も倒してしまうんじゃ・・・


「事実じゃ。じゃがレイドールのように全ての力を使える訳ではない。精々1割〜2割程能力が上がるぐらいじゃ。」


1割〜2割でもかなりの脅威だ。3つ持ってたら6割アップ・・・長の言う様にそんなの知ったら手放さないな。


「今は、人族の中でその事を知る者は少ないがな。昔は我々聖獣も人族と共存しておったのじゃが悪しき者達が、聖獣を封印して利用するようになったのじゃ。我々がここにいるのもそれから逃れる為じゃ。」


「里長様、私達が助けるまで、キュビちゃんは無事でいるのでしょうか?」


「それなんじゃが、3年じゃ。聖獣の珠は、何の対価もなく、聖獣の力を使ってるようなものだ。3年で、封印された聖獣は死ぬ。」


「そんな・・・」


利用するだけ利用してポイって事か。胸糞悪いな。3年か・・・急がないといけない理由ができたな。いや。逆に言えばその期間は安全なのか。それは少し安心するな。


「マリー落ち着け。一先ず3年はキュビ達は死なないって事だ。それまでに俺達がどうにかすればいいんだ。」


「そうだぜお嬢。レイならやってくれるぜ。」

 

「うむ。キュビの為じゃ。我々も協力しよう。と言ってもできる事が少ないじゃろうがな。」


「では、他の聖獣がいる場所を知っていたりしませんか?今の俺達ではボルテックスを倒せません。力を付ける必要があります。他の聖獣と契約できればキュビ達を助け出す確率がグンと上がるのですが?」


「そうじゃのう。それなら神獣様に聞いてみたらよいかもしれんのぉ。」


「神獣様・・・ですか?」


「うむ。奥の祭壇で祈りを捧げれば言葉を交わす事ができるはずじゃ。キュビも旅立つ前に神獣様に挨拶しておったぞ。」


神獣・・・初めて聞くぞ。そんな存在がいたのか。


「フェニク?知ってた?」


「もちろんだぜ。ここには青龍様がいらっしゃるはずだ。朱雀様や玄武様とは会った事あるが、俺様も青龍様と会うのは初めてだぜ。」


神獣・・・四神って事か。もしかして四神を探す度になる?それで四神を仲間にして勇者と魔王を倒すストーリー?それはそれでおもしろいけど・・・


「なるほど。わかりました。では神獣様を紹介頂けますか?」


「うむ。奥の間におる。ついてくるのじゃ。」


いきなり戦闘とかにはならないよな。大丈夫だよな。大丈夫だよね?


長について行き、今まで入った事の内奥の間に入る。そこには、金色に輝く龍の像が祭られていた。


「これが神獣様・・・」


長と同じように神獣様に祈りを捧げると、金色の像は光輝き、像の前に像と同じ半透明の龍が現れた。


「よくぞ来た。話は聞いておった。まさか勇者が裏切るとはのぉ。つい先日送り出したキュビが封印されるとは、悲しい事じゃ。」


「神獣様。俺がふがいないばかりにキュビを封印されてしまって申し訳ありません。」


「よいよい。あの戦いは我も見ておった。お主はよくやっていた。誰が見てもあの勇者が悪いわい。それより、魔王ファーラミストよ。よくぞレイドールを助けてくれた。礼を言うぞ。」


「!?神獣様はミストの事がわかるのですか?」


「我もみておったと言ったじゃろう。まさか魔王がお主を助けるとは夢にも思わなんだがな。」


「はい。ミストのお陰で今も俺は生きてます。それで神獣様、早速なのですが、俺は封印されたキュビ達を助けたい。その為にはボルテックス以上の力をつけないといけないんです。俺の場合、聖獣と契約すれば大きく能力を上げる事ができます。他の聖獣がどこにいるか知りませんか?」


「もちろん知っておる。」


「本当ですか?教えてください。」


「すまんがそれをレイドールに教える事はできない。」


ようやくキュービの里に着き、新たな聖獣と契約する為に神獣と対面するレイだったが、神獣から発せられた言葉はまさかの聖獣の居場所を教えれない。という拒絶の言葉だった。




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