第15話 『キュービ』ダンジョン攻略開始

レイとマリーは東の大陸最大のダンジョン『キュービ』に足を踏み入れた。地下52階まで攻略済みだが、完全攻略はまだ誰もしていない。


ちなみに『キュービ』ダンジョンは地下30階までは中級冒険者が攻略できるようになっている。地下の階数と出てくる魔物のレベルが同じぐらいだ。だが、地下31階からこのダンジョンは急に魔物が強くなる。


地下31階に出てくるハイスケルトンのレベルは62だ。もうわかるだろう。地下31階から下は階数×2のレベルの魔物が出現するのだ。地下50階ではレベル100の魔物が現れる。


地下52階なら魔物のレベルは104だ。しかし、この世界の最高レベル。いわゆるカンストレベルは100だ。どれだけこのダンジョンがムリゲーなのかわかるだろう。


そしてそんなダンジョンに足を踏み入れるレイとマリーのレベルはというと、


名前:レイ

職業:聖獣マスター

称号:駆け出し冒険者


レベル22

HP:220(330)

MP:220(330)

力:220(330)

魔力:220(330)

体力: 110(165)

敏捷:220(330)

器用:220(330)

運:110(165)


名前:マリー

職業:聖女

称号: 駆け出し冒険者


レベル80

HP:600

MP:1000

力:400

魔力:1000

体力:300

敏捷:400

器用:900

運:200


レイは力を奪われて、レベルが1になったので現状22だ。それに対しマリーはカンストとはいかないまでもレベル80と正直レイよりも圧倒的に強い。


今のままでも地下30階まではいけるだろう。レイの場合は聖獣の力で能力が5割アップしているからだ。それに、前回よりもステータスの伸びが良かった。そんな二人はダンジョンの攻略を開始した。


☆☆☆


「マリーが攻撃魔法を覚えてくれたから、ダンジョン攻略も大分楽だな。レベル80もあるし、この辺の魔物は相手にならないな。」


「まだ簡単な水魔法しか使えないけどね。」


「それでも今までは敵を倒す事すらできなかっただろ?」


「たしかにね。1発で倒せない魔物もいるし、それに複数だったらどうしても遅れるからまだまだだわ。」


「そこは俺がどうにかするさ。」


この世界はゲームとは違う。マリーが攻撃魔法を使えるようになった事もそうだし、俺だってスキルレベルとかがある訳じゃないのに、各段に剣の扱いがうまくなった。ゲームとは違いステータスが全てじゃないって事だな。


まあゴブリンやアントにスパイダーなんか倒してもレベルは上がらないけど、魔物を倒せば倒す程、熟練度が上がってるがわかるのは助かるな。ダンジョンを出る時にどれだけ強くなってるか楽しみだ。


それに、1日で地下5階に来ていた。1日で進む距離としてはかなり早いペースだろう。食料は1カ月分あるんだ。帰りの事を考えれば20日間で目標の地下30階に着けばいいと思ってたから、順調そのものだな。俺のレベルもまだまだ低いから行けるところまでは今のペースでいきたい所だな。


レイ達は地下5階で丁度いい休むスペースを見つけたので、今日はここで休む事にした。


「どうだったマリー?ダンジョン初日は。」


「これと言って特にはないわね。まあレイと一緒に冒険するのは楽しいし、魔法で魔物を倒せるのはうれしいわね。だけど他の冒険者がちょっと多くて動きづらいわね。」


「たしかに。他の冒険者がいなかったらもっと魔物を倒せてたのにな。」


「それはまあしょうがないわね。人気のダンジョンだし。」


東大陸最大のダンジョンと言う事もあり、『キュービ』ダンジョンに挑戦している冒険者は多かった。レイ達がここに来るまでにも10組以上の冒険者と出会っていた。


マナーとして、魔物の横取りは厳禁だ。レイの知ってるファイブファンタジーのゲームでは、ダンジョン内で冒険者に出会う事などない。会ったとしてもダンジョン内に立っていて雑談をはさんでくるNPCがいるくらいだ。


「まあ、悪い事ばかりじゃないのが救いだな。」


「ええ。」


他の冒険者が多数いてのメリット。それは、現時点でレイ達がいる広場にある。レイ達以外にもここを宿泊ポイントとしている冒険者パーティが2組いるのだ。ダンジョン攻略のマナーとして、夜の見張りは分担して行う事とされている。


レイとマリーだけなら交代で、朝まで見張りをしないといけないが、3パーティもいる為、単純に見張りの時間は3分の1になる。それだけでも翌日のダンジョン探索の質が上がるのがわかるだろう。


もちろん、マナーを守らない冒険者や、女性にちょっかいを掛ける冒険者もいる。レイ達以外の冒険者パーティは女性4人のパーティと男性2人、女性2人のパーティだった。男性ばかりのパーティがいなかったのもここを宿泊ポイントに決めた理由だった。


「別に他の冒険者に頼らなくても、魔物が近づいてきたら妾がわかるぞ。」


「それはわかってるけど、気にしなくて良い方がいいだろ?いくら寝る必要がないって言っても、ミストだってゆっくりしたいだろ?」


「それはそうじゃが。」


『キュービ』に来る道中でも野営は何度もしていた。魔物が近づいてきたらミストが教えてくれていたので、見張りを立てる事なく野営ができていたのだ。ダンジョンでもミストの能力があれば見張りを立てずに済むだろう。


「今日のペースなら明日は地下10階まではいけるだろう。地下10階のボスはゴーストキングだったよな?」


「ええ。魔法に弱い魔物だから今の私とレイなら楽勝ね。」


「だな。まあ何が起こるかわからないんだ。気を抜かない様にしよう。」


『命を大事に』は鉄則だからな。油断して、落とし穴の罠にかかっただけで死ぬ可能性もあるもんな。


そんな事を考えながら、ダンジョン攻略1日目は終わったのだった。



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