第10話 作戦会議・・・からの再び大聖堂へ

無事にミュラ王女と再会したレイとローズマリーは今後の事を話し合っていた。


「ボルテックス達をファンドラから追い出すのはわかるが、アルフェンって中央大陸のどこにいるんだ?」


「アルフェンがいるのは中央大陸の南側じゃな。妾が中央大陸の西側で、他の2人が北側と東側を陣地としておるのじゃ。」


(ファンドラから中央大陸に向かえば上陸は西側になる。そこがミストの陣地だったって事か。)


「ミストに聞いたんだがファンドラは中央大陸の南側にいるらしい。俺達がミストと戦ったのは西側だったからな。」


「南側ね。ファンドラから船で向かわせればいいわね。」


「でもボルテックス達はアルフェンがどこにいるか知らないんだろ?どうするんだ?」


「それとなく誘導するしかありませんね。魔王が他にもいる事が分かった以上、中央大陸全域を調べる必要があります。とかなんとか言って。」


「そううまく行くかな?」


「丁度今日の午後は勇者ボルテックスを交えて魔王対策会議があります。あっそういえば大聖堂には、ファンドラに来るようにマリー宛に手紙が言っているはずです。」


「それって魔王を倒す為に、ボルテックスのパーティに戻れって内容?」


「ええ。」


「なら。その手紙の返事で同行できない旨を書くわ。さすがに大聖堂まで私を連れ戻そうと来るとは思えないからファンドラにさえ近づかなければ大丈夫だと思うわ。」


「そうなるとボルテックス達は、新たにメンバーを探す所から始めないといけないな。」


「ええ。だけどすぐに見つけると思うわ。アイツ綺麗な女の人を見つけるとすぐ声をかけるもの。」


「さすがに、私も他のメンバーを紹介するつもりはありません。紹介された人がかわいそうですから。」


(まあそりゃそうだよな。ミストだって俺がいなかったら勝つ事すらできなかったんだ。それはボルテックスだってわかってるはずだ。勇者、剣聖、賢者の肩書なら一緒にパーティを組みたいヤツはすぐに集まるだろうけど、参加するヤツは少しだけ気の毒だな。)


「ミスト?アルフェンってヤツは中央大陸から出て、他の大陸を襲うと思うか?」


「いや。すぐには襲わんじゃろ。今回この城に現れたのも自分のホームに勇者を来させる為じゃと思う。妾が死んだ事で、魔王達の中じゃ勇者が危険な存在になってるはずじゃからのぉ。」


「なるほど。勇者を中央大陸に呼んで倒してしまえば後は好きに他の大陸を襲えるって事か。」


「そういう事じゃ。」


「ミュラ王女。はっきり言って今のボルテックス達じゃ魔王は倒せないと思う。逆に返り討ちに合うだろう。だから会議では魔王討伐の流れじゃなくて魔王の居場所を探る事をメインに誘導してくれないか?」


「時間を稼ぐという事ですね。」


「ああ。まずは、中央大陸で魔王の場所を調べる。そして、次に魔王を倒すって流れだな。アイツはプライドが高いから誘導するのは難しいかもしれないが、俺とマリーが以内状況なら、新しく組んだパーティでの連携や中央大陸には勇者じゃないと動く事ができない。とでも言えば気分よく乗ってくるはずだ。」


「その間にレイはレベルを上げるのね。」


「ああ。」


「でもリルとキュビとシルドはどうするの?レベルを上げるだけじゃ厳しいんじゃないの?」


「そうだな。たしかにマリーの言う通りだ。だけど今はまだアイツらを開放してやれない。悔しいがな。アイツらには、しばらく魔王を倒した勇者パーティとして表で踊っててもらう。とりあえずリルとキュビとシルドがいた場所を再度行ってみるつもりだ。何かあるかもしれないからな。」


「レイよ。聖獣を封印した珠はそれだけでかなりのパワーを持ってる。契約している訳じゃないからその力を全て使う事はできないだろうが持っているだけで多少能力は上昇するはずだ。だからアイツら多分聖獣の珠を手放さないだろう。」


「だろうな。まあ死んでいる訳じゃないんだ。アイツらにはもう少しだけ辛抱してもらう。それに、他にも聖獣がいるなら契約して新たな力を身に付けるって選択肢もあるからな。あっ。新しく聖獣と契約してもリルとキュビ、シルドは必ず取り返すぞ。」


「ならとりあえず私達は大聖堂に戻って、手紙を確認したらどこに向かうの?」


「東の大陸だな。場所的にはこの大陸で出会ったシルドの所に行くのが近いんだけど、俺のレベルが低いから旅した順番に回って行こうと思う。東の大陸だとキュビがいた所だな。」


「というとダンジョンタウン『キュービ』ね。」


「ああ。前とは違って今の俺には魔法がある。マリーもフェニクもいる。狐のお里でキュビの事や他の聖獣の事を聞いてみようと思う。」


「わかったわ。」


「又、すぐに冒険に出てしまうのんですね。」


「すまない。ミュラ王女。魔王を倒して世界が平和になったら必ず迎えに行く。それまで待っていてくれ。」


「ええ。もちろんです。もう待つことには慣れました。だけど必ず帰ってきてくださいね。」


「ミュラ。私が絶対レイは死なせないわ。足手まといにならないように私ももっと強くなる。」


(そういやマリーはまだレベルがカンストしてないんだったな。ボルテックス達はレベルカンストしてるのに魔王に勝てないとか今思えばかなりのムリゲーだな。リアルだとレベル以外にも強くなる方法があったりするのか??その辺も調べて行かないといけないな。)


今後の行動が決まり、レイとマリーは転移魔法で大聖堂へと戻った。残されたミュラは先ほどの作戦通りにうまくボルテックスを中央大陸へと向かわせる事へと成功したのだった。


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