第3話 冒険者ギルド
「お嬢。お嬢。」
「ん?」
目をあけると目の前には真っ赤な羽を広げた鳥がいた。
「フェニク!?フェニクなの?」
「ああフェニク様だぜ。お嬢久しぶりだな。」
「フェニク〜。レイが、レイが〜。」
「安心しろお嬢。レイは生きてる。」
「えっ!?本当!?本当なの?」
「痛い痛い。落ち着けお嬢。」
「うん。あれ?そういえばここはどこ?私、部屋で・・・」
「ああ、お嬢が俺様を抱いたまま寝てくれたおかげで意識を繋げる事ができたぜ。それでレイの事だが、」
「レイは?レイはどこにいるの?」
「落ち着いて聞いてくれ。俺様達は魔王に封印されたんじゃないんだ。ボルテックスの野郎に封印されたんだ。」
「!?」
私はフェニクからレイが魔王を倒した事、その後にレイがボルテックス達にやられた事、フェニク達が封印された事を聞いた。
「そんな・・・」
「事実だ。リルもキュビもシルドもあの野郎に封印されちまった。」
「どうしたら封印がとけるの?」
「レイだ。レイなら俺達の封印が解ける。だからお嬢。レイを探してくれ。」
「レイはどこにいるの?生きてるのよね?」
「ああ。レイは今北大陸にいるみたいだ。なぜそんな所にいるのか俺様にはわからないが、間違いなく生きてる。」
「北大陸・・・なんでそんな所に・・・」
「わからねぇ。それに俺達は封印されちまったからレイからは俺達の場所はわからないはずだ。」
「レイ。レイ。」
「お嬢。俺様をレイの元に連れて行ってくれ。あの野郎はゆるせねぇ。絶対ぶっとばしてやる。」
「フェニク。私も同じ思いよ。どうすればいいの?」
「まずはボルテックス達に気づかれないように北大陸に向かってくれ。気づかれたらお嬢が危ない。」
「わかったわ。北大陸は私の生まれた土地。魔王討伐の報告って言えば怪しまれずに行動できるわ。」
「ちっ時間切れか。お嬢。お嬢だけが頼りだ。頼んだぞ。」
目を覚ました私は早速行動を開始した。ミュラに全てを話し、ミュラにはそれとなくボルテックスの監視と時間稼ぎをお願いし、私はレイのいる北大陸へと向かった。
レイ。待ってて。すぐに見つけるから。
⭐︎⭐︎⭐︎
レイは始まりの街アサガオの冒険者ギルドに来ていた。
「新たに冒険者登録をしなおした方がいいよな?」
「そうじゃな。レイが生きてる事が勇者達バレるとまずいじゃろ。」
俺は、Sランク冒険者レイドールの名を伏せて、新たにレイとして冒険者登録をした。もちろんランクはFだ。
俺のステータスはオール10。ランクFは妥当な所だった。
冒険者登録を終えて、俺は早速街を出た。
「まさか魔王の妾がゴブリンを倒す依頼を受けるとはのぉ。」
「しょうがないだろ。とりあえずゴブリンを3体は倒さないと今日宿に泊まる事もできないからな。」
「わかったのじゃ。おっ、レイあっちに丁度ゴブリンが3体いるようじゃ。」
「えっ?ミストは魔物の位置がわかるのか?」
「もちろんじゃ。妾は魔王じゃぞ。」
魔王って魔物の王って事か?魔法の王、魔族の王、どれも魔王だよな?まあ細かい事はいいか。今はミストが魔物の場所がわかるってだけで。
「ミスト。どれぐらいの範囲でわかるんだ?」
「だいたい100m周囲じゃな。いつもなら10kmぐらいはいけるはずなんじゃが妾も大分、力が落ちとるようじゃ。」
「まあ100mでもだいぶありがたいよ。いきなりゴブリン3体は不安だから1体でいる所はないか?」
「それなら・・・あっちじゃ。」
あっちじゃって・・・そもそもあっちと言われてわかる俺もどうかしてるな。指さしてくれた訳じゃないのに。
ミストが言った方に歩いて行くと、ゴブリンが1体彷徨いていた。
「魔法で倒すのか?」
「いや魔法も試したいけど、まずは剣でやって見る。どんな感覚なのか掴んでおかないとな。」
いくらレイの記憶があると言っても俺は剣なんか振った事もない。ましてや殺しなんかも初めてだ。ここは進捗に。ゴブリンの背後から思いっきり切りつけてやる。
俺はゴブリンに気づかれないように、背後に周り、ダッシュで駆け寄った。
ゴブリンが音に気づくがすでに遅い。俺は思いっきり剣を上段から振り下ろした。
「ふぅー。」
「見事じゃ、レイ。」
「ああ。」
意外になんとかなったな。これもレイの記憶のおかげか?生き物を殺してもなんとも思わなかったし、剣も思ってた以上に扱えた。これならなんとかやれそうだな。
「よし。この調子で次行こう。」
「レイよ。ゴブリンの魔石と討伐証明はよいのか?」
「あっ!?」
そうだった。ギルドで言われたっけ。それにしても解体とかめんどくさいし、気持ち悪いな。ゲームの時は倒したらドロップしてたから忘れてた。
ゲームとリアルの違いだな。あ〜今からゴブリンの死体と向き合うのか・・・
レイの記憶のおかげか、魔石の取り出しと討伐証明の取り出しは簡単だった。
俺は調子に乗って、その後、剣で魔法でミストが見つけたゴブリンを倒しまくった。
結果・・・
ゴブリン30体倒す事に成功した。持って帰るのは耳と魔石だけだから袋にもまだ余裕がある。
「やったのぉ。これでしばらくは安泰じゃ。」
「ああ。レベルも4まで上がったし、この調子なら意外に早く西大陸までいけるかもしれないな。」
レイとミストは、ギルドで換金して、しばらくゴブリン狩りに精を出そうと決めるのだった。
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