第11話 夢で聞いた音
見た夢を覚えていることはありますか?
これは多くの人が断片的にでも覚えていたりする経験があると思います。
が、夢で聞いた”音”は覚えているでしょうか?
今回はその夢で聞いた”音”にまつわるお話。
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最近同じ夢を見る。
いや、場面は違うけど、夢の中で鳴っている同じ音を聞く。
口では言いようが難しいが、
ドゥクゥーン……ドゥクゥーン
と、なにか柔らかくて鈍いものを、ゆっくり叩いているような音。
日常では聞いたことがない、その音を聞く夢を最近定期的に見る。
がばっ・・・
「…今日もあの音だ」
「寝起きの悪い朝が続くなぁ」
寝汗もかきスッキリしない日々。
「あの音はなんなんだろう」
これまで断片的に夢は覚えていることはあったが、あくまでイメージとして覚えているだけ。
なのに…
イメージではなく、その”音"をハッキリ覚えている。
ドゥクゥーン……ドゥクゥーン
その音がしている時はなにもイメージがなく、真っ暗な世界。
そんな場所でその音だけが鳴っている。
「今日もその夢見たら嫌だな…」
毎晩寝るのが嫌になってくる。。はぁ。
「今日は見ませんように」
そんな祈りを込めて今日も寝る。
この日も同じ夢を見た。
しかし、鳴っている “音”が少しだけ違った。
ドクゥーン…ドクゥーン
ちょっとした違いだが、聞き取れる音が変わっており、音の大きさが少し小さく、音が鳴るリズムが少し早くなっていた。
がばっ・・・
「…今日もあの音だった」
「けど…少し、、変わった…?」
寝起きでも明確に変わったことを覚えている。
なぜ変化が起きたのか分からない。けど、あの"音"はなに…
そのなぞの”音”は次の日も少し変わった。
ドクーン.ドクーン
そして次の日も。
ドクン.ドクン
がばっ・・・
「…なんだあの音」
あきらかに変わったあの”音”。
けど、なんの音か分からない。
「…」
ばたっ…
汗びっしょりのまま布団に倒れる。
「なんか、、嫌な音だなあれ…」
そして今日も。
トクン.トクン…
とても小さくなっていたその音。
次の日の昼。
ばあちゃんが亡くなったと連絡がきた。
息を引き取ったのは早朝で、原因は急性心筋梗塞とのことだった。
すっと自分の腕を見る。
ばあちゃんに貰ったミサンガがある。
あの”音”を聞くようになったのは、亡くなる前にばあちゃんに会ってから。
そしてあの”音”。
ばあちゃんの…心臓の音?
その日以降、あの夢の”音”を聞くことはなくなった。
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