第5話 消えた右足
心霊写真を撮った経験はありますか?よく体の一部が消えていたりするとそこが怪我をしたり、よくないことが起きたりすると言われますが…
あそこで撮った写真、あの後なにもしなかったらどうなっていたんだろう・・・
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当時高校生の僕はその日、家族で海に行くことに。
海と言っても海沿いにある商業施設です。
施設の横には海が近くにあり、ご飯を食べながら海を見るなどができるような場所。
「ふぅ、お腹いっぱい」
「たくさん食べたね」
今日は、その海を眺めながらバーベキュー。
もう最高です。
と
「じゃあ帰るか〜」
と父が。
「あっその前にみんなで写真を撮ろう」
「あっ、すいませーん、写真とってもらってもいいですか?」
お店のスタッフさんに声をかけ写真を撮る。
「はーい、じゃあ撮りますね〜」
「はい、ちーず」
カシャ
海を背に家族4人で写真を撮ってもらった。
「ありがとうございます〜」
カメラのディスプレイ上でパッと確認する父が
「どうもありがとうございました」
「いえいえ、またお越しくださいませ〜」
そんなやりとりを遠目で見ながら満腹のお腹に手を添える僕。
「さっ帰ろう」
みんな満足のまま家路へ
…
次の日。
ウキウキしながら撮った写真を現像する父と母。
「楽しかったね〜」
言いながら現像した写真を手に持ち見ている。
と
「…ん?」
急にとまる父。
「どうしたの?」
母が返すと
「こ、これ見てみ」
一枚の写真を母に渡す。
「な〜に?」
「あら、良い写真じゃない」
「いやそうなんだけど、あいつの足見てみ」
「え?」
「…あれ」
母もとまる。
「ちょっと部屋に来て〜!」
大きな声で僕を呼ぶ母。
何事か?と思いながらも自分の部屋からリビングへ。
「なに?」
父と母がテーブルに写真を広げてこっちを見ている。
「あっ昨日撮った写真?どれどれ〜」
「おぉ〜いいじゃん」
気がつかない僕はそう答えると。
「これ…見て」
「ん〜?」
その例の写真を渡され見る。
「みんな綺麗に写ってて良い写真じゃん」
「…自分の足見てみなさい」
「えっ?」
「……あ」
僕も時がとまったように固まった。
海を背に4人が立っている写真なのだが。
僕の右足の膝から下が消えている。
よくこうゆう写真は二重露光の影響とか言われるが。
それにしても綺麗に足が消えて後ろの海が鮮明に写っている。
「…足がないんだけど・・・」
「あんた大丈夫?」
母の一言に。
「いや、特になにもないから大丈夫だけど…」
ただ、すごい気になる。
と父が。
「これ」
何かを差し出してくる
「これはなに?」
渡されたものを見ると腕につけるサイズの白と紫の半透明な玉がつながっている数珠。
その数珠には少し長い透明の板のようなものつながっており、そこには観音様が掘られている感じのものだ。
「それ、右足につけときな」
「守ってくれるから」
「あっ…わかった」
言われるがままになってしまったが、それを受け取り右足につける。
…まぁなにもおきないよね。大丈夫大丈夫。
心で言い聞かせる。
…
……
………
…問題はその日の夜に起こった。
自分の部屋でまったりしている。
と…
右足についている数珠が無性に気になる。
「…なんか痒いな」
数珠は履いている靴下の上にあるような状態。
それなのに、無性に数珠のところが痒い。
痒いからなのか、少しイライラする。
「あ〜だめだ、痒すぎる」
「なんだろう…薬塗るか…」
そう思った僕は靴下と数珠を外す。
すっ
「あっ」
靴下を脱ごうとしたら、数珠が靴下に絡まり一緒に取れてしまった。
「…はぁ、めんどくさ」
すごいイライラする。
しぶしぶ絡まっている靴下と数珠を取ろうとするがなかなか取れない。
意味がわからない、どこが絡んでいるのか。
痒いのもあってイライラがとまらない。
「あっもういいや、薬」
と、数珠が絡まっている靴下をポイっと投げた。
しゅた
薬を手に足を見ると特になにもなっていない。
「…なんなんだよ」
そう思いながらも一応薬を塗る。
「ふぅ」
…丸まっている靴下に目をやる。
「はぁ、またつけるか」
「まずはとらなきゃ…」
と、靴下を広い持ち上げる。
ガシャン…
バラバラバラバラ
「…えっ?」
拾った靴下から色と紫の半透明の玉が流れ落ちてくる。
バラバラっ…
…
床一面に数珠が飛び散る。
「…な、なんで。。」
手に取った靴下をみると数珠を繋いでいる線だけがある。
…
まるまった靴下になにか塊がある。
「…」
見ると、数珠につながっていた透明の板の観音様が掘られているものが
真っ二つに割れている。
「……なんで。。。」
確かに靴下を投げた。
投げたが、投げ捨てた感じではなく着ている洋服を脱いでおくような感じで投げただけ。
それなのになんで、観音様の部分が真っ二つになるように割れるの。
「…た、たまたま床に落ちた時の角度が悪かっただけかな」
そう思わないが言い聞かせるように口に出す。
「きっとそうだ」
大丈夫。大丈夫。
…
それからと言うもの右足に大きな怪我などは起こっていない。
もしかして割れた観音様が身代わりになってくれたのかもしれないが、なんとも言えない。
だけど。
あの時数珠を足につけていなければ、僕はどうなっていたのだろう。
と、今も少しゾッとする。
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