夏合宿

「新入生のみなさん!今日からサークル恒例の新入生夏合宿です!合宿で練習して上達してねっ」

「はーい」


「新入生ひとりに、先輩ひとりついて、マンツーマンで特訓しますから!うちは、あやめっちさんの特訓を受けもちます!よろしくねっ!あやめっちさん!」

「あ、よろしくお願いします」


「はいっ!じゃあ、持ってきたマンドリンをケースから開けて~、早速弾いてみましょう」

ポロポロリ~ン

「弾き方は、こうですか?」


「えっとね、ピックをつまんで、バーンッと上下に2弦いっしょに弾く感じで」

ピンピンピーンッ

「こんな感じ?」


「おおーっ!そうそう!いい感じ!その調子で」

「はいっ!」


☆☆☆☆☆


「そろそろ、お風呂に入りましょうか?」

「え?あ、はい」


「あやめっちさんは、うちといっしょに女子のほうに入りましょう!今のうちに、ふたりで速攻で、えいっ!て入っちゃいましょう」

「はいっ!」


「あやめっちさんは女子みたいやから、いっしょに女子のほうでね」

ザブーンッ

「うわー!気持ちよいー」


「そうでしょー!あやめっちさんといっしょに入ると、なんだか、なつかしい感じするのは、なんでなんやろね?」

「さあ?なんででしょう?」


「前にもいっしょに入ったような?」

「さあ、どうでしょうか」


「あやめっちさんの高校の近くには伊勢寺あるんだよね?」

「え?そうですね」


「うち、伊勢さんの歌、百人一首の中でも、いちばんくらいに好きやから、ずっと伊勢さん推しやねん」

「伊勢さん、好きなんですね」


「勝手にうちのお師匠さんやと思ってる」

「へぇー」


「情熱的な歌とか、いろいろ」

「恋の歌とか」


「ねーっ!いいよねー」

「そうですね」


「あやめっちさんも好きなん?」

「好きですね!伊勢寺の近くにある高校に行ったのは偶然かもやけど」


「えーっ?偶然でなくて必然かもよ」

「そうですかね、導かれたんですかね?」


「そうだよ、きっと」

「まあ、なんとなく、そんな気もするんですけど」


「うちは、あやめっちって、前にも聞いたような気して!」

「うちも、先輩の香絵って名前、最初に聞いた時、前に聞いたような、なつかしい感じした」


「え?ほんまに?めっちゃ嬉しい。これからも、よろしくねー」

「こちらこそ」




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