再会

「こんばんはー!おきてるー?」

「うわっ!今、なんか、女の子の可愛い声してなかった?気のせいか?」


「こんばんはー!聞こえてるー?」

「うわっ!またや...何?だれ?なんで声だけ聞こえてくるの?しかも、めっちゃ可愛い声」


パチーンッ

「いややわ~。可愛いやなんて」

「うわっ!今なんか、当たったような...」


「可愛いなんて言うから、ついスケッチブックで、たたいてもうたわ」

「可愛いって言われたら、たたくんですか?ほんまにもう」


「えへへ、ごめんね」

「しかもスケッチブックって...そんなん持ってるんですか?」


「え?スケッチブック?」

「はいっ、そうですよ」


「そりゃスケッチブック持ってるやろー!持ってない?」

「いや、ありますけど」


「そやろ」

「絵でも描いてるんですか?」


「こう見えて絵描きやからな...って見えてなかったか」

「見えてませんよっ、声だけなんやから」


「よしっ、うちの描いた絵、見せたろ!えいっ!」

パラパラパラッ

「うわっ!天井から、絵、落ちてきた」


「あはは、どない?」

「富士山ですか?」


「あ、わかる?」

「わかりますよ!修学旅行、富士山行ってきましたから」


「真っ白な霧も描いたった」

「ほんまや、あの時の、白い霧みたい」


「うまく描けてる?」

「白い霧、思い出すほど、うまく描けてますね」


「ほんま?嬉しい」

「あなたも、富士山で真っ白な霧に遭遇したんですか?」


「そうやで」

「富士山って結構出るのかな?」


「どうなんやろな?」

「うわっ!霧の中で抱き合ってキスしてる」


「ええやんか、べつにキスしても」

「まあ、いいですけども」


「想い出のキスなんやから」

「へぇー、いいですね...って、そんなもん、うちに見せて、どうするんですか?」


「ここでもキスしたろっ!えいっ!」

チューッ

「うわっ!なんとなく、今キスされたような感じ」


「あはは、またキスしたった」

「なんか、ブチュッて感じましたよ」


「もうすぐ、ふたりは実際に会えるみたいやね」

「どの、ふたりですか?」


「さあねー!その時は、うちにもわからへんからなっ」

「何、言ってるんですか?」


「ひさしぶりに、ふたりは、ほんまに会えるってこと」

「ふたりって?」


「まあ、香るって覚えといてなっ!ほなな!また、その時な」

「えーっ?なんのこっちゃ」

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