修学旅行バスの中

「あやめっち!こんにちはー」


「うわっ!...その声は...まさか...イセっち...」


「めっちゃきれいな山々の景色やんかー」


「イセっち、修学旅行に着いて来たん?」


「えへへ、勝手に着いて来てもうた...」


「バスの中でも、ひとりで座ってるんやなー」


「ええやろー」


「みんなはお友達どうし、楽しくしゃべってるのに...」


「うちは、ええのっ!」


「ほんま?」


「えっ?...ほんまやで...」


「ほんまに?」


「えっ?なんで?」


「ほんまは、あやめっちも、お友達と仲良くしゃべりたいんやろ~」


「えっ?...まあ、そうやけども...」


「ほら~やっぱり、そうやんか」


「...でも、うちはええのっ!」


「なんで?なんでええのっ?」


「えっ?...それは...うちは転校してきたばっかりやから...そやから修学旅行に来てるだけでも、ええんやから...」


「へぇー...」


「なに?イセっちは、ひとりやから、さびしいって思ってるん?」


「...まあな、どう見ても、ひとりさびしくバスの窓から、山の連なる景色をながめているみたいから...」


「まあ...そうやけども...でも、ええやんかっ!こうやって、みんなと修学旅行に来てるだけでも...」


「まあな!...でも、そうなんちゃうかな~って思って...」


「えっ?なに?どういうこと?」


「どうせ、あやめっちは、ひとりさびしく、行動してるんちゃうかな~って思ってな...」


「それで着いて来てくれたん?」


「そうやで~」


「伊勢さんの、たのみなん?」


「いや、これは伊勢さんとは関係ないっ!勝手に、うちだけの判断で着いて来てもうた...」


「ふぅーん、そっか...まあ、ありがとう...」


「えっ?」


「イセっちも、優しいんやな~って思って...」


「えへへ、照れるやないの...」


「いくら照れたところで、うちにはイセっちの姿は見えてへんのやからねっ...」


「あ、そうやったなー」


「そうやでー!イセっちは、いつも声だけなんやからな...」


「そうなんやなー」


「...そんな、さびしそうに言われても...」


「あはは、ごめんごめん...ほな、またね」


「えっ?もう行くん?」


「また善光寺に着いたあたりで、あらわれるわっ」


「えーっ?」


「またねーバイバイ」




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