Flat

@rantz_pson

第1話 曇天

「ピピピピッ…ピピピピッ…」

あぁ、また今日がやってきた。

いつもと変わらぬ、輝かしい朝だ。

半開きになったカーテンの隙間から差し込む光は、寝起きの目には痛かった。

天井の模様が見えた頃、明(アキラ)はようやくアラームを止めた。

そしてまたいつもと同じように準備をする。

「あ、賞味期限切れてる…」

逆立つ髪もそのままに、食べるヨーグルトはいつもより酸味が強く感じられた。


大学に通い始めて早2年。明は常々後悔していた。

したくもない勉学、いつまでも距離が縮まらない人間関係、孤独な時間。日々の全てが無意味に感じられた。

それでも他人の前ではとにかく頑張ったし、明るく振舞った。そうすれば、誰かが何かを与えてくれる。助けてくれる。そう信じることしかできなくなっていた。

もちろん初めからそうだった訳ではない。

ただ毎日、少しずつ、少しずつ、自分が存在できる場所はない、そう思うことが増えた。

「明はいつも元気だよな!」

「明は自信たっぷりでいいよねぇ。どうしたらそんなに堂々とできるのかな?」

「悩みなんかなさそうで羨ましいぜ!」

わかってない。何を見てるんだ?俺の何を知ってる?

卑屈になる自分にもまた嫌気がさした。


そして今日もまた鏡の中の自分と目が合う。

「お前は、何者なんだ?」

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