第63話 同級生の帰還


「う~ん久しぶりだな! こうして外出するのは…外って素晴らしい」


「理人済まない…どうしても…そのな」


「お兄ちゃん、ゴメンね、どうしても…そのしたくなっちゃうから」


「別に良いけどさぁ…まぁ色々仕方ないのは解るけど…あれ以外の事もしたい、今日は夜までSEXは禁止だからね」


「ああっ、大丈夫だ! 絶対にしない」


「うんうん、そう言う約束をシャルナ様ともしたから安心して」


今の俺をきっと皆は、ハーレム野郎って呼ぶと思うし、絶対に幸せだ。


そう思うと思う。


だが、日々、SEX、SEXの生活ってどう思う?


いや、確かに幸せだよ?


自分好みの美少女~美熟女とヤリタイ放題の毎日。


満たされているけど、満たされない。


そんな気に俺は成る時がある。


例えばSEXだけど、中出ししないと『悲しい顔』をされる。


男なら手や口でして貰っていたら、そのままいきたい時だってあるだろう?


だが、中出しにしないと悲しい顔をされる。


この世界は人口増加が悩みだから事情は解かる。


だけど、偶に寂しさを感じる時があるんだ。


他にも、う~ん、なんて言うのかな?


そこに行くまでの雰囲気を味わいたいんだけど…それも無理。


デートしたり日常生活を楽しんで、その延長でのSEX。


それも無い。


勿論、俺も男だから綺麗な女の子が裸になればヤル気は起きるけど、何か物足りない気がする。


「それじゃ、カセリアにミム、今日は俺は口を出さないから、俺を楽しませてよ」



「そうか、それじゃ近くの保護施設で…」


「うんうん、ミム頑張るよ!」


「ハァ~だから今日は違うでしょう! 初めてあった時のときめきみたいのを感じたいんだって…ほら、最初に一緒に食事をした時、や散歩した時の、あの楽しさを、もう一度味わいたいんだよ!」


「うむ、解った、考えてみるさ」


「お兄ちゃん…そうだね…面倒くさいけど頑張るよ」


面倒くさい?


今、そう言ったのか?


確かにこの世界じゃ仕方が無いのかも知れない。


男女逆に考えたら『何時でもやれる美少女を手に入れた』状態だ。


普通に考えたらデートより犯る方が楽しい、そういう人間は多いよな。


「そうか、ミムは俺と体の関係だけ望むんだ…嫌いになっちゃうかもな…ミムの回数減らそうかな…」


「お兄ちゃん?! 何をいっているのかな?ミムはお兄ちゃん大好きだよ! 勿論、お兄ちゃんと一緒に居るだけで楽しいよ…だから、だから、お兄ちゃん…グスッヒク」


「解った、解ったから泣かなくて良いから」


ミムの気持ちもよくわかる。


その反面『それだけじゃ寂しい』最近はそう思うようになってきたんだ。


前の世界じゃキスすらした事が無かった。


きっと女の子とキスなんてしたら1日中幸せな気分で満たされたと思う。


この世界では…キスなんてしたければ誰とでも出来る。


可愛い子を見つけて無理やりキスしても、男だってだけで喜ばれ、相手は舌までからめてくる。


『女の子を口説く工程や、徐々に好きになってきてくれる。そう言う物は絶対に味わえない』


「お兄ちゃんごめんなさい」


「解れば良いから、意地悪言ってゴメンね」


これは贅沢な気持ちだ。


考えても仕方ないな。


「…」


「それじゃキスしてあげるからチュッ、チュッ」


「理人…」


「お兄ちゃん…」


「ほら早くデートコース決めて、デートの時間が遅くなると『夜の時間』が減るよ」


「「うん(そうだな)」」


こんな美女や美少女が俺を好きなんだ。


贅沢な悩みだよな…


◆◆◆


街から外に出てカセリアに膝枕して貰いミムの膝に足を乗せている。


前の世界じゃ、どちらか1つでも絶対叶わない光景だ。


「理人は本当に膝枕が好きなんだな」


「まぁね、この角度から見る女性の顔が凄く好きなんだ」


「ずるい、そろそろミムと交代して」


「ああっ、もう暫くしたらね」


「絶対だからね」


最近になって思った事がある。


俺は結構ロマンチストな面があるみたいだ。


行為その物よりも、終わった後のピロートークが好きだ。


始まる前の会話も好きだ。


そして今みたいにしているのも…


風に靡くカセリアやミムの髪…本当に愛おしく感じる。


「あれっ、なんで此処に居るんだろう?」


「理人どうした…あっ!」


「あれは勇者パーティだよね…なんで此処に居るんだろう?」


よく考えたら可笑しな事じゃ無い。


魔王であるサキュバと和解したんだから、もう戦いは終わり。


勇者もお役御免だよね。


「お~い皆…」


「理人…嘘、久しぶりだね…」


「あっ理人だ! 懐かしいね」


麗華さんをはじめ同級生…懐かしいな。


今思えば、男は貴重な世界。


女性が戦うのは仕方ないのかも知れないな。


「皆、大変だったね…これからどうするの?」


「私達はこれからお城に行って褒賞の交渉をするのよ…そうだ理人も一緒に来てくれないかな?」


「麗華さん、マリアンヌ女王もマリン王女も男性保護施設に居るから、そちらに行った方が良いかも」


「それなら、理人案内してくれる?」


「カセリア、ミム…デートは中止で良いかな?」


「まぁ仕方ないね」


「ミムは、夜さえしっかり相手してくれれば良いよ」


「理人…夜って」


「あはははっ何でもないよ」


流石に今の現状を麗華さんをはじめ同級生に知られるのは恥ずかしいな。

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