第35話 シャルナは忙しい


「シャルナって本当に忙しいんだな?」


「当たり前じゃない?! これでも公爵なんだからね」


「ゴメン…」


「別に良いわよ! それとも今日も理人が私の相手をしてくれるの?それなら、こんな書類ほっぽり出して…」


「シャルナ様!」


「煩いわね! 解っているわ…冗談よ」


そう言いながらシャルナはハンコを押す手を止めない。


邪魔しちゃいけないな。


「うん、それじゃまたね」


「またね理人」


そう言いながらシャルナは名残惜しそうにこっちを見ていた。


◆◆◆


「ふぅ、行ってくれたわね」


「あれがSランクの理人様ですか? あの笑顔、まるで天使ですね」


「でしょう? あの笑顔に比べたら…他の男はゴミね! あれが、きっと本物で、他の男は『男モドキ』だわ…」


「シャルナ様が言っていた事が良く解りました…」


「でしょ、でしょう?私、理人の為なら姫様でもギロチン送りに出来るわ!」


「シャルナ様が言うとシャレになりませんから…」


「そうね…でも本気だわ」


「あはははっ、私も剣を持って斬り殺すかも…」


「だよね」


ふぅ~しかし、Eランクだけでも随分いるわね。


腹が立つから、早く奴隷送りにしたいから片端からハンコを押しているけど…ハァ~終わらないわ。


「それでシャルナ様…」


「取り敢えず、終わった書類から取りにこさせて…囲っている貴族に、人権の無い奴隷扱いだから、おもちゃにして良いし、売り払って良いって言って良いわ…腹が立つなら拷問して殺しても良いって伝えても良いわよ」


「可哀そうに、王族みたいな生活から、最底辺に真っ逆さまですね」


「大体、Eランクなんて、国に何も貢献してないんだから、元から必要ないのよ!孕ませる事も出来ない不能の男なんで必要ないわ…それを馬鹿な王女が擁護するから」


「シャルナ様!」


「言い過ぎね…でも、本当に腹が立つわ…こんな偽男に大事な国のお金を使っていたなんてね…」


「それももう終わりなんだから良いじゃないですか?」


「そうね…まぁこれからは、地獄の人生なんだから良いわ」


しかし、ハンコを押すだけで重労働ね。


これから、まだEDCの処分もあるのよね…


提案して決まったけど…


全部私がやらないといけないのよね…


全員、男性特権を取り上げて『一般市民』に落とす。


ただ、これだと無慈悲だから、仕事の斡旋や、3か月位の生活の保障。


その位すれば良い筈だわ…


それで身を崩しても、それは自分の勝手だわ…これだけ建前があれば問題はない筈よね。


そして、これは今は出来ないけど、現存する最高のBランクの処理。


今は理人に何かあった時の為に確保しているけど、Sランクの精子や子供の確保が出来た時点で同じく『市民扱い』


最終的には、この国で上手くいったら、理人の精子を他の国へ提供。


最終的には『理人の血を引く者以外の抹殺』それが目的。


そうする事で、時間は掛かるけど世界は正常に戻るわ。


「それで魔国との戦いはどうしますか?」


「今の勇者たちが勝てるかどうかね…まぁ他国と同じだわ、あそこも正常な精子の確保に人間以上に困っているからね。だけど、ある程度、理人の精子が確保出来たら放出するか、理人ジュニアの1人をあげればきっと和平も簡単だわ」


「確か、今の魔王はサキュバスクィーンの血を引いていましたね」


「そうよ…きっと、その代償なら四天王すら黙らせるわ」


「そうですね…それで私にもおすそ分けを…」


「嫌よ…」


「そんな…」


「仕方ないわね…カップ1個、融通してあげるわ」


「私だって直に触れ合いたいです!」


「そうね…無理」


はぁ~これからこういう手合いが増えるのね。


大変だわ…



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