第32話 男に奉仕してこその女


「それじゃ、理人、今日はよろしくね!」


結局、あの後3人で話し合って、俺は蚊帳の外。


今迄、ほぼ禁欲状態だった事をシャルナが主張して、今日はシャルナの貸し切りとなった。


「シャルナ…今日だけだから…な」


「明日からは3人でしっかり決めるんだからね? シャルナお姉ちゃん」


ガッカリした表情で二人は部屋から出ていった。


しかし、ミムは対応が早いな、もう『お姉ちゃん』って呼んでるし。


そんなこの世の終わりみたいな顔しないでも良いのに…


明日にはまた会えるんだから。


「それで、シャルナはどうしたい?」


「どうしたいって…そりゃ、あの日の様にめくるめく官能の1日をね…恥ずかしい事言わせないで…うん…」


両手を広げてピョンピョンしている。


ハグして欲しいって事なのかな…


そのまま近づき、シャルナを抱きしめた。


「これで良いのかな?」


「うん、ああっ2週間ぶりだけど、本当に懐かしいわね」


そう言うシャルナは力一杯俺を抱きしめ返した。


本当に、シャルナが残酷で冷酷なのだろうか?


俺にはどうしてもそうは思えない。


確かに目は少し釣り目で気が強そうだが、背が低くて、これはこれで凄く可愛い。


「どうしたのよ? いきなり私を見つめて…」


「いや、シャルナは、凄く可愛いな…そう思って」


「なっ、そんな事を言うのは理人だけだわ」


「そうかな? 本当にそう思うのよ!」


「全く、もう…」


「それで、シャルナはどうするの?」


「どうするの…って、だからこれから…おねだりしないと駄目なのかな?」


「いや、それは、そんな事しなくても良いけど…先にこれからの生活について、話し合っておいた方が良いかな…そう思って」


「ああっ、そっちね…それなら大丈夫だわ! この男性保護施設の中に執務室を作って、そこで仕事をするわ! そうすれば通う事もしないで済むし、対外的処理には横の建物を公爵権限で買収するからね…これで解決だわね」


流石は公爵…凄いな。


横の建物、買うんだ…そこそこの屋敷に見えるけど。


「横の建物、結構大きな屋敷だと思うんだけど?」


「こう見えても、私は公爵なのよ! 王家の持ち物以外はどうとでもなるわ」


「凄いな…」


「凄くて偉いのよ!私は! 信じられないなら、そこら辺の貴族の顔を殴っても良いわよ? 私が黙らせて見せるわ!」


凄いな、シャルナ。


公爵とは言えそこ迄出来るのか。


「凄いね」


「まぁ、他の男は皆、我儘ばかりだわ…本当に自分が王族にでもなったつもりみたい! 理人みたいに優しい男性なんて居ないわよ」


「そう?」


「そうよ…それで今日はこれからどうする? 私からした方が良い? それとも理人からしてくれるの?」


「確かにSEXも良いけど、時間はたっぷりあるし、まずは一緒にお風呂に入らない?」


「えっ、お風呂?! 一緒に入ってくれるの?」


「勿論、なんなら、髪から体まで隅々洗ってあげるよ」


「隅々…良いわね、それじゃ理人は私が洗ってあげるわ」


「公爵なのに? 良いの?」


「なに言っているの! 男に奉仕してこその女だわ! そこに爵位は関係ないわ」



「シャルナが体を洗ってくれるなら、今日は思いっきり頑張っちゃおうかな?」


お風呂だし…そこで楽しむのも有りだよね。


「楽しむって?」


「内緒」


夜は始まったばかりだ。





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