寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、サディスト共

糖蟻巣

1作目「泣き虫星の雨砂糖」

雨が夕方という色を消した日


お菓子が食べたくて、月の下に出て行った

空は、星の赤子の夢

いつも泣いているけど、いつも通りの景色で誰も気に留めない


雨上がりの夜

泣いているけど、泣き終わった楽しい時間

空気が洗われていて美味しく楽しい

コンクリート上に落ちている一粒一粒がドロップで、お砂糖

甘……くない

猫が屋根で社交界

今日は濡れるからお気を付けて


夜のお店にフルーツキャンディが売っている

お財布の中にはなんと百円玉

諦めた

舌がどうしても甘味を欲しがるけど、今日はダメ

どうしても食べたかったらネズミが歩く夢を見よう


こんな時には長靴が欲しい

電柱のネオンがそう言っている

君も泣くの?

泣かないよ

どうして……とは聞き返さない


慰めドロップ、砂糖味

塩じゃなくて宝石の色

泣いてばかりじゃ甘さを知らない

頭がぐわわん、ぐわわんってなるだけ可哀想


星が口を開けて初めてのおしゃべり

だけど僕、甘いのもしょっぱいのもいらないよ

そうなんだ……としか言わない


星は涙と一緒に舌を捨てていたから


じゃあ今度あなたには長靴、片っぽあげるよ

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