第44話ヒカル5

クロ達が入ってきた。

あーヤベ、ワクワクしすぎて笑っちまいそうだ。

ニヤつきそうでクロの顔がみれねえや。


準備してるクロ。

柔軟してるクロ。


まだか?まだか?


準備ができたクロがジロに呼ばれて俺と向かい合う位置まで来た。


ふーー

一度深く深呼吸をする。

よし、落ち着いた。


クロから微かにだが匂いがする。

いるな。

確実に龍がいる。

向かい合って改めて感じる。


いる。

龍がいる。

なら今目の前にいるコイツはどのくらい強い?


始まる。


軽くステップを踏む。

俺本来の戦闘スタイルじゃないが、まずは様子見だ。

確か拳闘?とか言ったか?

このスタイルの方がクロとの噛み合いはいいだろう。


踏み込み一撃。


避けられた。


はは、避けたよ、ちゃんと避けたよ。

今までのクロなら今の一撃でKOだった。

確定だ。

龍を宿しやがった。

避けた瞬間に龍の匂いが一気に濃くなった。


なら今どれくらいの強さがある?

確かめてやる。


少しスピードを上げ踏み込んでいく。

一撃、二撃、三撃、躱す、躱す、躱す。


いいねえ、更にスピードと威力を上げていく。

また躱す、躱しきれない分はガードをしていく。

このスピードと威力にはついてきてるな。

なら更に上げていくぞ。

ちょっと蹴りも混ぜていく。

躱すね〜

いいねえ、そうこなくっちゃな。


更に上げながら少しフェイントを混ぜてみる。

ん〜いまいちだな。

フェイントに対しての反応が悪い。

虚実の区別がついてないな。

全部に反応してるし、反応と体がバラバラな感じになってんな。

なんと言うか、酷く不恰好だな。

なんなんだろうな、強くなったのにクロ本人がついてこれてないのか?


ふむ、確かめるか。

フェイントを挟みながら、体勢を崩させ強めの一撃をガードさせる。

ガードに意識がいってる間に死角からの一撃。

飛んで威力を逃がされたか。

だが確定だな。

意識と体が一致してねえ、だから動きがバラバラで不恰好になる。

自分自身の体を十全に操れてねえ。

強くなった自分の体を、高くなった身体能力をクロ自身が理解できてねえんだな。

自分になにができるか、なにができないかわかってねえな。

後はクロ自身の経験不足か。

まあそれは今まではこのスピードについて来れなかったからな、しょーがねえか。


さて大体わかったな。

さっきのはそれなりに手応えもあったしな、なかなか楽しめたがこの辺でやめとくか。







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