第8話 タロウの変身
いよいよ、タロウに神様からの伝言を伝え、まずは、神様に言われていた通り、タロウの意向を確認した。
「これを食べれば、人間になれるらしいが、寿命も短くなるらしい。それでも構わないか?」
「構わん」
タロウはすでに500年は生きているらしいが、人間になれば寿命は100年ぐらいになってしまう。だから俺は念のため、もう一度確認した。
「一晩ぐらい考えたら?」
「構わん。」
今度も即答した後、タロウは最後の遠吠えをした。
「ワオーン!」
俺はリュックから、お団子を取り出して、タロウに食べさせた。
・・・
「おい、裸だぞ、裸!」
俺は一瞬、訳がわからず、手で目の前を隠しながら叫んだ。
「何で女の子なんだよ!」
「タロウは勝手につけられた名前。もともと女。団子を食べたとき、『職業と年齢を選べ』という声が聞こえた」
タロウは、いつの間にか地面に現れた服を着ながら答えた。
「『魔法剣士で年齢は15歳』と頭の中で答えた。そして、こうなった。」
声も口調と先ほどまでの威厳のある声から、少女の声に変わっていた。
タロウはひ弱そうには見えたが、達人たちのような隙の無さもあった。
才能というものには2種類あると思う。より強いものと、より精密なものである。
より精密なものは、ギリギリまで性能を高めているのためどこか壊れやすい。
一方、より強いものは壊れにくく、他を圧倒する力をもっている。
ただし、人と競う場合は、ここに乱数が加わる。
いつも90点以上を目指していると、乱数は少なくなり、上への振れ幅も少なく、オリンピックなどの一発勝負ではなかなか勝てない。
一方、常に限界にチャレンジしている人は乱数が大きく、嵌まったときは強い。
そんなことを考えながら、タロウを見定めていた、
まだ全然わからないが、見た目の感じでは、タロウはどちらかというと、精密なタイプかと思われた。
色々と驚くことがあって、この時は、リュックから『進化の実』であるお団子が減ってないことには気がつかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます