第3話 万能リュック

その後、神様と少し話しをしていたら、神官が戻ってきて、


「神様、準備が整いたました。」


「そうか、じゃあ、少し頼みたいことがあるけど、お願いできるかな」


神様が俺のほうを向いてそう言ってきた。


「全然いいですよ」


「ありがとう。じゃあ、少しおまけしておくね。後は宜しく」


・・・・・・


気がついたら異世界の旧遺跡らしきところにいた。


ちなみに、服装は死ぬときに着ていたものとは違い、どうやら、こちらの一般市民の服装のようだった。

あとは荷物が少し。


「これが神様の言っていた『おまけ』かぁ」


それは子供のころに使っていたリュックだ。

早速、リュックの中を覗いて見ると、


「お、これは子供のときに書いていたアイデアノートだ」


表紙に自分の下手な字で『瀬戸川りょうた』と書かれた古びたノートである。


(あとは水とおにぎりとコンニャクか。親父が棺に入れたものだけど、親父は何か知ってるようだな)


親父は、これまで何か隠し事をしてた様子もないし、特に目立つ才能もなかった。


このつながりについては、必然なのか偶然なのかはともかく、リュックの中を続けて見てみると、


「これがそうか、、」


それは神様から渡された、1個のお団子のようなもの(『進化の実』)だった。


・・・・・・


「しかし、人の気配がしないなぁ」


俺は周りを見渡しながら、大きな不安を抱いたが、


「まぁ神様から、任務を貰ってるんだし、簡単に死ぬことはないだろう」


と無理やり開き直ることにして、とりあえずはお腹が空いたので、おにぎりを食べることにした。


「あれ? あれあれー? まじかぁ」


なんと、おにぎりをリュックから取り出しても、リュックの中のおにぎりがなくならなかったのだ。


「コレってもしかして、、」


俺はおにぎりを食べながら、アイデアノートを開いた。


名称:万能リュック

機能:生き物以外は、何でも入れることができる。容量に制限はない。食料であれば一度入れたものは取り出しても減ることはない。


「やっぱりそうだ。アイデアノートの通りのものだ。子供のときの自分偉いぞ。」


自分で自分を褒めながら、おにぎりを3個たべて、水も飲んで、減らないことが確認できた。


「よし、まずは飢え死には無さそうだな」


どちらかというと、不安よりも期待の方が大きくなった。

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