モブ専転生悪役令嬢は婚約を破棄したい!!
水鳥楓椛
第1話
「は!?ちょまっ、」
美しく巻き上げられた縦ロールの黒髪を持った女性の止める声も聞かず、金髪藍眼の青年が意地の悪い笑みを浮かべて女性のくちびるを奪った。
「絶対に逃さない。ベティー、お前は俺のものだ」
はじめてのキスにも関わらず、雰囲気もへったくれもなく、くちびるを奪われた女性は驚愕に目を見開きながらも、必死になって青年の胸を殴って逃げようとする。けれど、青年は逃さないと今しがた宣言した通り、女性を壁に押さえつけ、今度は先程よりもずっと長く口付けた。
「ふぁ、あ、う、」
涙目で逃げようとする女性に対して、青年は貪り尽くすかのように口づけをし、そして息が耐え耐えになっている今しがたファーストキスを奪った婚約者に向かって優しく微笑んだ。
「………お前がどんなにあの男のことを好こうが、な」
(私、どこで間違ったの?)
ずるずると床に座り込んだ女性は、真っ赤に上気した頬を押さえてプルプルと震えた。
もう部屋には女性を襲っていた男はいない。颯爽と去って行った青年は、王子とは思えぬ手際の良さで女性に口付けをし、そして去っていったのだ。
「なんで攻略対象が、悪役令嬢にぞっこんなわけー!?私、モブ専なんだけどー!!」
よって、女性の意味不明と判断されるであろう叫びは、誰にも聞かれることがなかった。
~~~これは、王子を誤って攻略してしまったことに気がついていない、モブ専転生悪役令嬢が、諦めて王子のものになるまでのお話であり、王子が最オシ転生ヒロインとモブ専転生悪役令嬢が一生懸命共同前線を張って見事に敗北する、そんなお話でもある。~~~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます