第1話 ゆうぐれ

【ゆうぐれ】


 緩やかな芝生の坂で、私は友達のユナと並んで寝ていた。

 先に目を覚ました私は、こちらを向いて寝ているユナの寝顔の前に、何か落ちているのを見つけた。それをまだ幼かった手で掴んで、横になったまま夕焼けの空に掲げた。

「なにもってるの?」

 ユナも起きて、掲げたそれを見た。

 紫の石。といっても、普通の石の所々に紫の結晶が出ているようなものだった。夕日の赤い光を反射して輝く、その魔性の紫に私たちは目を奪われた。

 幼い手に収まりきっていないその石を呆然と見ながら、私は言った。

「むらさきの石がまじってる」

 ユナは石を見ながらその緑色の瞳を輝かせて、一回パチリと瞬きをして言った。

「それアメジストじゃない?」

 いつの間にか赤紫になった私の瞳が、その光を浴びてキラキラと反射した。

 ゆっくりと時間が過ぎていった。とても心地よい流れだった。




次回:この後すぐ

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