映画館

「流石、休日……おっと、すみません」


「……きゃっ!!」


「あ、ありがとう……。 え? これって……むっ、「手を繋がないと、はぐれる」からとかそういう補足はいらないかな!!」


「嬉しかったのに台無しだよ《ボソっ》……ん~ん、何でもない」


「君の手って大きいよね?」


「そうかな? 私にとっては大きいと思うんだけど」


「他の男の子とこういう事するわけないじゃん、友達に比べてって事!!」


「全く、私が君以外にそんなことしないよ。 むしろ、そんなこと思われていたことがショックだよ」


「あ~あ、ショックだな~。 あ、あそこに美味しそうなクレープ屋があるよ?」


「よし、すみませ~ん。 イチゴ蜂蜜バナナ一つ」


★★★☆★


「ん~、美味しい~!!」


「この苺とバナナと蜂蜜は正義だよね~」


「ほい、一口どうぞ」


「むっ、私の好意が受け取れないのか?」


「わかればよろしい、はい、あ~ん。 どう? 美味しい?」


「でしょ~、もう一口いる?」


「そっか、じゃあ……あむっ、ん~!!」


「あ~あ、美味しいものはあっという間だな~。 おっと、もうすぐ上映時間ね。 行こう」


「さっきは繋いでくれたのに、駄目なの?」


「やった♪♪」


「♪♪~」


「大人二つ、えっとカップル割で」


「特典!? やった」


「袋の中は六個ランダム、6分の1か……こい!!」


「あ~!! 推しじゃない~!!」


「君は開けないの? え、くれるの? いいの?」


「「クレープのお礼」っか……わかった、ありがとう」


「よし、さっきあの子が出たか5分の1……~~!!」


「でた、でたよ!! うし!!」


「君のおかげだよ、嬉しいな~」


「うん、君もわかるでしょ? 推しを自分の引きで当てる喜び」


「それじゃ、定番のポップコーンセット買って中にいこっか」



★★★★★★


「いよいよ、上映だね。 三期の最終回の後でこれが完結なんだよ?」


「あ、ごめん。 原作読んでなかったね。 思わずネタバレしちゃいそうだった」


「駄目だよ、知らない方が楽しみ増えるもん。 私は原作知っているからどんな感じで描かれるのか楽しみだし、君は知らないからこそこの先の展開が楽しみだろうし、それぞれ楽しみ方があるんだよ」


「お、始まった」

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