第18話
城までやってきたが、周囲の視線がおかしい。
ぶっちゃけ可也はっちゃけたなあと言う認識のあったイディオだが、一寸やり過ぎた?と感じる程度。
こういう事に全く鈍感な俺様勇者は何がどうしてこうなった状態。
そして城に到着し、城に入ろうとするとなんと城の入り口を守っている衛兵に入場を止められた。
「どういったご用件で?」
「何を言っているんだ?俺様の事が分からないのか?」
「・・・・ああ、あんたが今噂の・・・・一寸待ってろ。」
・・・・何だあの態度は。それに噂って何だ?
今までこんな態度で接してきた兵士などいなかったので、困惑する勇者。
暫くすると城内から案内が到着。
「話は聞いている。そこに武器は置いていけ。ついて来い。」
「おいてめえ!誰に口をきいているのかわかっているのか?」
「何を言ってるのかわかりませんが、人間扱いしてるだけましと思ってもらえませんかね?」
あきれたのを通り越して、固まる勇者。
「様子が変だぞ勇者。気をつけたほうがいい。」
そう言うイディオだが、イディオ自身もどうしたら良いか分からない。
「は!ひょっとして何かサプライズでも用意してるんじゃあねえ?」
そう言う勇者だが不安は隠せない。
そして控えの間に通され、かなり待たされ・・・・数時間待ってようやく謁見の間へ案内される。
すると、椅子には皇帝ではなく従兄のエルムントが座っており、その場に同席している重鎮達の視線が険しい。
「おいエムルント、なんでそこに座っている?」
「うるさい下郎!誰が喋ってよいと言った?」
重鎮の一人が勇者に言い放つ。
「なに!誰に口をきいているのかわってるのか?」
勇者とイディオ以外、全員残念なものを見るような眼で勇者を見つめる。
「てめえら皆が皆何だその目は!俺様は勇者だぞ!」
そして更に重鎮が何か言おうとしたが、身振りでエルムントが止める。
「時間がもったいないから話を進めるぞ。しかしどの面下げて戻ってきたんだ?ヒルベルトにイディオ。」
「おい!名前で言うな!俺様の事は勇者様と言えって言っていただろうが!」
勇者の名前はヒルベルト・リーネルト。
皇帝オーレリアンの弟を父に持つ、皇族である。
そしてイディオは勇者のお付きとなった勇者の幼馴染。
出自はとある侯爵の長男。
そして勇者ヒルベルトは勇者という特別な存在になった事に関して有頂天になり、自らを勇者と言わせる事にしたのであった。だがここにきて従兄のエムルントが勇者を名前で言ってきた。
「まあいい。ヒルベルト、お前は父上が用意したパーティーメンバーの聖女アルフォンシーナに手を出したらしいな。そしてイディオ、貴様もだ。アルフォンシーナの付き人ビーチェを犯したそうだな。」
黙る2人。
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