カード
テラホラ拓也
カード (読み切り)
私の名前は、
今日は友達の梅田菜奈と大型ショッピングモールで買い物の約束に電車で向かっている。ショッピングモールは終点駅にあるため、かれこれ40分程乗っている。
ふと気づくと、さっき下車した20歳程の青年がカードを落として行ってしまっていた。
両面が真っ黒なカード。クレジットカードだろうか?裏面も黒いが、白い枠が2
つあり、「ID 30789」「PASS 156786218」と書かれている。私は、後で交番にでも届けようとカバンにしまい、電車を降りた。
20分後、 菜奈との買い物は楽しい。
楽しい、けど…… お金が足りない。
かわいい服がありすぎてつい大人買いしてしまった。
別の服屋で支払いに困っている。
深雪(やばい、お金無いよ〜。どれか削る?それとも、今日やめておくしか無いのかな〜。)
菜奈「深雪、大丈夫なの?お金。 このあとクレープも食べるんだし…」
深雪(あ、忘れてた。クレープ… 自分から食べたいって言ったのに…どうしよう…)
深雪は、鞄の中を漁っていたとき、ふと、それが目に入った。
『カード』黒いカード。これを使って良いものか?他人のカードを使うのは勿論犯罪だが、そもそもこれが本当に使えるのかも怪しい。すると、菜奈が突然、
菜奈「あ、クレジットカードあるじゃん!これでお願いします。」とカードを見た途端私の鞄から素早く取り出し、レジの店員さんに提示する。
深雪「えっ!ちょっと‼」
突然のことに一瞬頭が追いつかなかった そのためか…
店員「はい、こちらですね。お買い上げありがとうございました。」
店員さんがカードリーダーにカードを読み込ませ、気づいたときには、会計が完了してしまっていた。
深雪(あぁ、もう… 後で返すしかないか…)
深雪は、渋々返却されたカードを受け取ると今度は、財布の中にそれをしまった。そして、買った服をすぐに着て、買い物を再開した。
そして、クレープ屋に赴くと、やっぱりだった。お金が足りない。
菜奈「深雪、どうしたの?カードあるんなら、それで払おうよ!」
菜奈が急かしてくる。悩みながらも、鞄に手を近づける。恐る恐るあのカードを取り出し、店員に手渡す。
店員「お預かりいたします。」
店員の丁寧な接客態度が、罪悪感を刺激する。
店員「暗証番号をお願いします。」
深雪(あ、暗証番号…)
一瞬動揺したが、自分の頭は無意識に覚えていたようだ。
店員「はい、お買い上げありがとうございました。」
その後も買い物は続いた。その間生きた心地を感じなかった。
なぜなら、所持金がない為、カードで支払いを済まさないといけなかったからである。恐らく、カードで払ったお金は5〜6万は優に超えているだろう。
帰り道
菜奈「深雪〜、今日は、ありがとね。」
深雪「う、うん…」
菜奈「? なんか元気無いな〜。どした?話聞くよ?」
そう言われて悩む深雪。
深雪「えっと…」
深雪は口をまごまごさせていた。
深雪「やっぱ、何でもない… 気にしないで!」
菜奈「そっか… じゃあ、また明日!」
それからの深雪は…悲惨だった。 帰路の途中、横断歩道を渡っていると、信号無視の車と衝突。買ったばかりの新品の服は、かなりボロボロになってしまったという。怪我も左脚が複雑骨折していたのに加えなんと、大腸癌ステージ3が見つかり、彼女が、目を覚ましたときには強制的に即行入院させられてしまっていた。
深雪「何で私がこんな…」
深雪は、こんな事を言っているが、心当たりが一つあった。周りに誰もいないのを確認し、カバンからアレを取り出す。
深雪「これが、原因?…って、まさかそんなw」
深雪はカードをまじまじと見ていた。変わらず、真っ黒なカード。そして、裏面の方も見ようと裏返した一瞬。深雪は目を丸くした。
カードに記入されている、パスコードが「PASS 」とある。
深雪「あれ?こんなパスコードだったけ?なんか違う気がする。」
パスコードが何か違う。それだけで異変だが、自分が所持していた他人のカードが、本人の手元にない状態でこうなるのは、もっとおかしい。
深雪「こんな物捨てよう。」
そうしようと、ゴミ箱に向かった深雪。ところが、
深雪「あれ⁉︎此処どこ?」
気付いた時、深雪の眼の前には真っ黒な世界が広がっている。真っ暗ではない。どこからかわからない光の反射で、黒さが明確になっていた。
青年「それを、返してくれ」
声の先に立っていたのは、あの青年だった。
深雪「ここは、どこなの?」
青年「ここは、僕の世界だ。そして君は、そこについてきた。」
深雪「はぁ?ついてきたって…私は、貴方を追いかけてなんかいない。私は、カードを使っただけ…」
青年「そう、君はうっかり僕の落としたこのカードを使った…」
青年の手には、あのカードが握られていた。
深雪「なんで? …私が持っていた…」
青年「君はこのカードを拾って、少し贅沢していたからね~、その分もきっちり回収させてもらうよ。」
青年は、深雪の言葉を遮って話を進める。
青年「これは、普段君たちが使っているものとは特殊でね… 使った分を金以外のモノで等価交換するんだ。」
深雪「等価…交換…?」
青年「君は、確か服を買っていたね〜。…残念だったろう?自分の血で汚れてビリビリに破けて…」
深雪は自分の近況を思い返し、ハッとした。
深雪「もしかして、あれが…!」
青年「それだけじゃーない。確か…クレー…プだっけか。あの食べ物?病院に着く頃には、消化されきっていただろう。」
それを聞き、深雪は背筋を凍らせた。
青年「これが…… 等価交換だ!!」
青年は得意げな表情をして、言った。
青年「だが、まだ、補填できてない物が沢山…」
深雪は、男の言う事を最後まで聞かずに走った。存在するのかさえ、わからない出口を探して…
深雪「逃げよう!とにかく…、とにかく、あいつから遠いところまで…アッ」
前を見ずに走っていた深雪は、ナニカに
深雪「ウッ…何この臭い? ……ッハ‼」
そこにはただやつれ倒れている人間達がこちらを凝視している。聞こえない
深雪「いやぁぁぁぁぁああああーーー!」
深雪の声に反応し、一番近くで倒れている人間が片腕を出す。他の人間の
グシィャ///
人間共の、腕が、頸が、吹っ飛んでいった。
深雪「キャァァァァァーーー‼」
ポーーンッ///
男?は頸、胴、片腕を、無理やりくっつけ、深雪に近づいてくる。
深雪「仲間… ?」
背念「ココニは沢山の、俺ノかぁ~ドを使っタノニ、ソの分返セナㇰなっタヤツがイルンだ。」
背念「そろそろ、こいつらは、使い物二ナラナくなってきた。新シイカラダ…欲シイ!」
そう言って、男は深雪に近づく。対して深雪は、涙目になるしかできなかった。
深ユキ「嫌っ、……やめて…イヤダ! イヤっ…」
深雪が病院からいなくなり、1週間。家では、深雪の家族が遺体で発見された。
発見される直前、母から警察に、「娘が戻ってきた」と連絡があり、その音声のなかに、
?「まだ足りない」 という、声が入っており、
父親も足りなかったという血文字も見つかった。
皆さんも、かぁ~ドの不正利用二は、キヲツケテ。
カード テラホラ拓也 @toyo0706
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