「CLOVERに思いを寄せて」(4人声劇台本)
深海リアナ(ふかみ りあな)
【CLOVERに思いを寄せて】
═ 登場人物(その他)═
所要時間:約20分 女3・男1
〇片岡 あいり(かたおか あいり)
真っ直ぐでしっかり者。
器用貧乏なところがある。
●和泉 奏多(いずみ かなた)
あいりのクラスメイトの幼馴染。
おちゃらけてるように見えて、
しっかり周りを見ている。
〇桐嶋 瑞希(きりしま みずき)
ボーイッシュで容姿端麗な
皆のアイドル的存在。ピュアで天然。
〇篠宮 紗英(しのみや さえ)
真面目でクールなお嬢様系優等生。
瑞希のツッコミ役。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あいり:(N)クローバーは三枚の葉で出来ている。
この場所はいつだって心地いい空間だけれど、
割り切れない一枚の葉、それが私だ。
今日も優しくて残酷な時間が過ぎてゆく。
大丈夫、私なら今日も上手くやれる。
瑞希:紗英、あーん。
紗英:やめてよ瑞希、恥ずかしいじゃない。
瑞希:えー、いつもやってるのに。
紗英:場所を選びなさい!場所を!
瑞希:ちぇー。
紗英:それにほら、あいりだっているんだから。
あいり:はいはい、お熱ぅございますねぇ、
お二人とも。
紗英:これはその、ちがうのよ。
瑞希:あいりにもしてあげようか。 はい、あーん。
紗英:瑞希!!
あいり:いいですよ、
どうせ あいりはお邪魔だもんねー。
紗英:そんなこと⋯!
あいり:あーあ、前は桐嶋瑞希ファンクラブの頂点は
あいりのもので瑞希くんの隣もあいりが
陣取ってたのになぁ。
誰かさんに乗っ取られちゃった~なぁんてね。
瑞希:遠慮しないでいいんだよ。あいりも大事だよ。
紗英:そうよ、あいりが居なかったら、
私たちこうやって付き合ったりしてなかったのよ
ちょっと妬いちゃうけどあいりなら私許せるわ。
瑞希:妬いちゃうんだ?
紗英:そこだけ拾わないでよ、ばか!
あいり:⋯勝者は余裕ですなぁ!
ふふ、そう言ってくれて、あいりも嬉しい!
(瑞希、紗英笑う)
あいり: あ、あいり用事あったんだ!行かなきゃ。
瑞希:え、まだお弁当残ってるよ?
紗英:ちゃんと食べないと体によくないわよ。
あいり:最近少食なのよね!だから平気。
じゃあまた後で!
イチャイチャも程々にねー!
紗英:あいり!⋯んもう。
瑞希:いってらっしゃーい。
間
(あいり、教室から出ていく。奏多に出会う。)
奏多:よっ、あいり。
あいり:奏多。珍しいじゃない、
声掛けてくるなんて。
奏多:だってよ、いつもあの二人とつるんでるから。
声なんてかけられるかよ。
あいり:ふぅん。で、なに?
奏多:用なきゃ声掛けちゃダメなのかよ。
冷たいねぇ、
たった一人の幼なじみに向かってその言葉は。
あいり:悪かったわね。
久しぶりだから何事かと思って。
奏多:たまにはさ、一緒に帰らねぇ?
まぁ⋯話したいこともあるしよ。
あいり:今じゃダメなの?あいり、
今日も瑞希くんや紗英と一緒に帰るんだけど。
奏多:じゃあ俺とはいつ帰ってくれるんだよぉ。
あいり:もう、わかったわよ。
子供じゃないんだから駄々こねないでよね!
奏多:よっしゃ!
あいり:はぁ、あんたといると
落ち込んでる暇もないわ。まったく。
奏多:落ち込んでたのか?珍しいじゃん。
あいり:あいりだって色々あるんですぅ!
奏多:わかった、わかった!ごめんて。
あいり:やっぱ戻ろ。バカバカしくなってきた。
奏多:用事、いいのか。
あいり:聞いてたんだ。
奏多:聞こえたんだよ。
あいり:⋯ないよ、用事なんて!
奏多:そっか。
あいり:奏多。
奏多:あん?
あいり:ありがとね。元気出た!
奏多:。なんの事だ?それより放課後、忘れんなよ!
あいり:おっけー!
( SE 放課後のチャイム)
紗英:さて、と。瑞希、あいり、帰りましょ。
瑞希:あ、ちょっと先生に聞きたいことあるんだ。
2人とも 待っててもらってもいいかな。
紗英:いいわよ。
あいり:あいり別の人と帰る約束してるんだ。
今日は一緒に帰れないや。ごめん。
瑞希:そうなの?
紗英:珍しいわね。
あいり:だから、先に帰るね、また明日!
瑞希:うん、また明日ね!
紗英:ええ、さようなら。
紗英:⋯⋯。
瑞希:⋯誰と帰るんだろうね、あいり。
紗英:そうね。
瑞希:まさか私たちより仲良い人⋯いるとか。
紗英:そんな素振りなかったじゃない、大丈夫よ。
瑞希:⋯うん。
紗英:なんだかんだ、
私達ってあいりのこと好きよね。
瑞希:ふふ、本当だ!
(奏多に走り寄るあいり)
あいり:ごめーん、遅くなった!
奏多:おー!
あいり:こうやってあんたと2人で帰るの
いつぶりかしらね。
奏多:さぁ、覚えてねぇや。
あいり:で?
何か話したいことがあるんでしょ?なに?
奏多:あー、いやまぁ。話したいことっつーか⋯
あいり:ハッキリしないわねぇ。なによ。
奏多:変なこと聞いていいか?
あいり:だから何。
奏多:桐嶋と篠宮ってその⋯デキてんの?
あいり:は?
奏多:あ、いや、なんかこう、あの二人って、
時々異様な空気漂ってて照れるというか⋯
あいり:話ってそれ?
奏多:お、おう。
あいり:そんなの本人たちに聞いてよね。
奏多:聞けるか!
あいり:ま、そりゃそうよね。大当たり、
あの二人付き合ってるわよ。それが何?
奏多:やっぱりそうか⋯
なるほど、付き合ってるのか。
あいり:何深刻な顔してんのよ。
もしかしてあの二人のどっちかに惚れてるとか?
奏多:ばか!そんなわけねーだろ。
あいり:あの二人はやめときなさいよね。
入る隙なんてないんだから。あんた傷つくだけよ。
奏多:ちげーっつってんだろ!
あいり:はいはい。
奏多:⋯あのさ、これからしばらく一緒に帰らねぇ?
あいり:なんでよ、言っとくけど、
外堀から埋めようってんなら相手が悪いわよ。
奏多:そんなこと考えてねぇよ!
あいり:んー、2人に言ってみる。
厄介な子供持つとお守りが大変だわぁ本当。
奏多:誰が子供だ!
あいり:ま、幼なじみのよしみもあるし、
たまには一緒にいてあげる。感謝してよ。
奏多:へーへー、ありがとうございますー。
あいり:心こもってないわねー。
奏多:⋯あいりはさ、いいのか?
あいり:なにが?
奏多:んー?いや、別にいいんだけどよ。
あいり:へんなの。
奏多:まぁ、そのへんまた色々話そーや!
あいり:え?うん⋯、?⋯わかった。
奏多:じゃあ俺こっちだし。また明日な!
あいり:じゃーねー!
(SE スマホの着信音)
あいり:え、瑞希くん?
(通話)もしもし?どうしたの?
紗英:もしもし、あいり?ちゃんと家に着いた?
あいり:紗英!?なに?
瑞希:もしもし ごめんね、あいりが心配だから
確認の電話入れろって紗英がうるさくて⋯
紗英:うるさいとは失礼ね!
あいり:過保護か!
大丈夫に決まってるでしょ?なんなのもう。
瑞希:いやー、それが⋯
実は職員室行く時、あいりが男子と歩いてるの
見てさ、紗英に話したら鬼の形相で
「確認よ!」って命令するもんだから。
紗英:鬼の形相ですって!?
あいり:あはははは、なんなのあんた達!
あれは幼馴染の奏多よ!和泉 奏多!
同じクラスじゃない、知ってるでしょ。
紗英:え?和泉くん?
瑞希:私はすぐ分かったんだけど⋯
紗英、全然話聞いてくれなくて。
紗英:何ですぐに和泉くんって言わないのよ、
「男子と帰ってた」って言うから私つい⋯
あいり:なんであいりが
男子と帰ってるとそうなるのよ。
瑞希:だって、
「私たちのあいりが変な輩にかっさらわれる」
⋯って紗英が。
紗英:そこまで言ってないわよ!
あいり:なにそれ、誰目線なのよ。
紗英:だって。
あいり:けど、ありがと。愛されてるなぁ、あいり♡
紗英:当たり前じゃない。心配したのよ。
瑞希:と、言うわけ。ごめんね、突然かけて。
あいり:ううん、嬉しかった。
あいり:⋯あの、ついででゴメンなんだけど⋯
しばらく一緒に帰れなくなっちゃった。
瑞希:え?なんで?
あいり:あの駄々っ子がさ、
たまにはオレの相手もしろーってうるさくて。
当分一緒に帰る約束しちゃったの。
瑞希:そっか、あいりも大変だね。
というか和泉くんに謝っといて。
あいりを二人占めしてごめんって。
あいり:あはは、二人占めってなに?
瑞希:帰り以外は一緒に居られるから
別に構わないよ!和泉くんによろしくね。
あいり:うん、じゃあ明日また学校でね!
あいり:ふぅ、愛されてるなぁ、私。
⋯それが凄く嬉しくて⋯辛いんだけどね。
間
(カフェにて)
「回想」
瑞希:あいり、あのさ⋯あいり?
あいり:ごめん、ちょっと忙しいんだ!
瑞希:え、うん⋯。
紗英:ねぇあいり、この間の話なんだけど⋯
あいり:何の話?あ、先生とこ行かなきゃ!またね!
紗英:え、ちょっと⋯
奏多:⋯いり、あいりって!
あいり:え?⋯あ、何?
奏多:何って注文。あ、俺はコーヒー。
あいり:あぁ⋯じゃああたしは紅茶。
あいり:⋯で?何で学校帰りにあんたと
カフェに来なきゃいけないわけ?
奏多:話したいことがあるんだ。
あいり:またそれ?今度は何。
奏多:お前、最近あの二人と距離置いてる?
あいり:⋯なんでよ。
奏多:もしかして俺のせいかな~とか
考えちゃうんだよ。
あいり:別にあんたのせいじゃないわよ。
奏多:じゃあ喧嘩した?
あいり:してない。
奏多:じゃあなんでだよ。
あいり:⋯⋯。
奏多:当ててやろうか。
あいり:やれやれ、
奏多にあいりの繊細な気持ちが分かるかしらねぇ!
奏多:真面目に聞けよ。お前、桐嶋のこと好きだろ。
あいり:⋯⋯!
奏多:で、俺の事を口実に
少しずつ距離取ってねぇか?
あいり:⋯⋯。
奏多:当たらずとも遠からず⋯だろ。
あいり:⋯⋯。
奏多:なんか言えよ。
あいり:⋯なんであんたにそこまで分かるのよ。
奏多:それは⋯
あいり:そうですそのとーりですー!
瑞希くんに前に告って振られて
仲良くしてもらって
そして未だに好きなんですー!
あんたと居ればあの二人と
一緒に居なくていいし
辛くないし、だから逃げてるだけですー!
奏多:やっぱりな。
あいり:⋯ごめんね、利用して。
奏多:別にそれはどうでも。⋯けどさ、
あいり:なに。
奏多:篠宮もお前も、
女が女を好きになるってあるんだな。
俺には知らない世界だ。
あいり:あんたもそういう事いうんだね。
男も女も関係ない。その人だから好きになるの。
異性に恋をするのと何ら変わりないよ。
奏多:別に軽蔑とかしてるわけじゃねーよ。
それに人を好きになる気持ちは⋯オレにも分かる。
あいり:瑞希くんは⋯最初は憧れだったの。
私も皆と同じキャーキャー騒いでる
ミーハー女子の一人。けれど気づいたの。
皆瑞希くんの事が好きだけど、他にちゃんと
好きな人や彼氏がいて、
誰一人として瑞希くんの内側を知りたがる子は
いなかった。紗英ですら自分の気持ちで
いっぱいいっぱいで、だから、
瑞希くんが時々見せる寂しそうな顔に
気づいてなかった。
あいり:皆に好きと言われながら、誰一人として
それに気づいて貰えない彼女は、
どれだけ寂しかったでしょうね。
そんな彼女を見て私は、「あぁ、この人の傍に
いてあげたい。」ってそう思った。
結局今は幸せそうだから私は
お払い箱なのにね、
あの二人が離してくれないのよね!
奏多:あいり。
あいり:クローバーってあるでしょ?
三枚の葉っぱのクローバー。
あれ見ると私たちみたいって思うの。けどね、
その中の二人がくっついちゃうとあとの1枚は
ひとりぼっちになる。きっとそれが私。
幸せだけど、少し残酷って思わない?
優しくて心地よくて⋯ちょっと悲しい。
奏多:お前って、器用なのか不器用なのか、
それを隠して笑えるとこが凄いよな。
けどそれで自分の首絞めて、
上手く立ち回って⋯
俺みたいなやつにしかその顔を見せない。
それ、苦しくないか?
あいり:苦しいよ、正直。
こんな姿、奏多にしか見せれない。
奏多:潰れそうになったらいつでも話せよ。
俺ならぶつかって来ても受け止めてやれる。
あいり:あんたみたいな幼馴染がいてよかったわ。
今、すごく利用させてもらってるしね!
奏多:おー、利用しろ利用しろ!
あいり:何であんたにはいつも分かっちゃうかなぁ。
奏多:幼馴染だからだろ。
あいり:幼馴染だからか!そっか!
奏多:気持ちは分かるけどよ、気まずくなる前に
何とかしろよ。好きなんだろ、2人とも。
あいり:うん。明日話しかけて、ごめんって言う。
奏多:頑張れよ。
(次の日)
あいり:瑞希くん、紗英、おはよ。
瑞希:⋯!あいりーーーーーっ!よかったぁ、
もう話しかけてくれないのかと思ったーーーっ!
紗英:(感極まって)おはよう⋯あいり⋯!
あいり:ちょっと2人とも何で泣くのよ。
瑞希:だって和泉くんと帰るようになってから、
なかなかあいりと喋るタイミングがなくて⋯
紗英:そうよ、寂しそうにしてたんだから。
瑞希:紗英がね。
紗英:瑞希もでしょ!
あいり:あはははは、ごめんごめん!
また一緒に帰れるしいっぱいお喋りも出来るから!
紗英:和泉くんの誘い断ったんでしょ?
悪いことしたわよね。
あいり:大丈夫大丈夫!その辺は平気よ!
紗英:そう?
瑞希:⋯ところでさ、単刀直入聞くんだけど。
紗英:え、今!?
あいり:なに?
瑞希:あいりって、和泉くんのこと、その⋯
どう思ってるの⋯かなぁ、なんて。
あいり:はぁ!?
紗英:うん。
あいり:⋯⋯。
瑞希:あ、答えたくなかったら別にいいんだけど⋯
凄い仲良いから気になってね⋯?
紗英:もちろん幼馴染だからっていうのも
分かってはいるのよ?
瑞希:ただ、和泉くんの方は⋯
紗英:しーっ!
瑞希:いや、何でもない。
あいり:⋯⋯はぁ。あなた達って⋯憎たらしいほど
鈍感というか⋯本当お似合いよ。
瑞希・紗英:⋯え?
あいり:けど、そんな瑞希くんと紗英だから、
私は2人が大好きよ。
瑞希:どうしたの、いきなり。
紗英:あなたも大概恥ずかしいわよ、あいり。
あいり:う、うるさいわね。分かりなさいよ!
奏多:ちぃーっす。
あいり:あ、奏多来た!おはよー!
奏多:ん?あいりか、おっす。
瑞希:おはよう、和泉くん。
紗英:おはよう。
奏多:え?う、うっす。
あいり:あ、奏多ちょっといい?
ごめん瑞希くん、紗英、すぐ戻る!
瑞希:え?
紗英:えぇ。
奏多:上手くやれたみたいだな!
あいり:お陰様で!
奏多:で、久々に何話してたんだよ。
あいり:え?んーなんか、
あいりが奏多の事どう思ってるのかとか
聞いてくるんだよ、2人して。へんなの。
奏多:あー、やっぱそうなるよな。
他の奴らにも似たようなこと聞かれたわ。
あいり:奏多はなんて答えたの?
奏多:ん?⋯俺は⋯あいりが好きだけど、
って答えた。
あいり:⋯はい?
奏多:だから、俺はあいりが昔から⋯
あいり:ちょっと待って。思考が追いつかない。
何それいつから⋯!?
奏多:何度言わせるんだよ!だから昔から⋯
あいり:ストップ!
奏多:いや、最後まで言わせろ!
あいり:どこが!?
奏多:お前カッコイイもん。いつもハキハキしてて
明るくて可愛いし⋯桐嶋ほどじゃないけど、
お前も結構男子にモテてるって、知ってた?
あいり:はぁぁぁぁぁ!?知らないよそんなん!
奏多:お前あの二人以外に興味なさすぎ。
あいり:だって⋯⋯
奏多:好きじゃなきゃこんなに一緒に
居たがらねぇっての。気づけ!
あいり:でもあいりは
奏多:桐嶋が好きなことくらい前から知ってたよ。
どんだけお前を見てきたと思ってんだ。
あいり:ふ⋯不毛だと思わなかったの?
奏多:うるせーな!あーあ、言っちまった!
あいり:あいり、てっきり奏多は
瑞希くんか紗英を好きだと⋯
奏多:馬鹿だろお前。
あいり:なによ、奏多のクセにぃ!
奏多:で?
あいり:は?
奏多:返事。
まぁ、言いたいことは大体分かってるけど
一応俺もケジメってものを付けたいから
盛大に振ってくれ!
そしてまたいつも通り⋯って⋯あいり?
あいり:⋯⋯⋯。
奏多:ここで俯くのやめてくれよ。
バシッと言ってくれ、
いつもみたいにバシッと。
あいり:⋯⋯⋯⋯⋯。
奏多:あーーーー、やっぱり今のなし!
傷つけないように言葉選んでるだろ!
そんな悩むなよぉ、そっちのが傷つく!
あいり:⋯四つ葉、見つけた。
奏多:⋯え?
あいり:いいよ!
奏多:えぇ?
あいり:今は瑞希くんが好きだけど、
そのうちちゃんと
恋愛しなきゃいけないなら相手はあんたがいい。
他の人と付き合う気なんてサラサラないわ。
少し待たせるかもしれないけどそれでもいい?
奏多:お⋯お⋯おおぉぉぉぉ!?
あいり:何よそのリアクション。
奏多:いやだって⋯予想外の返事すぎて準備が⋯
あいり: あんたとなら上手くやれる気がするし、
好きにもなれそうな気がする。
何より、あんたの傷つく姿とか見たくないのよ。
奏多なら⋯好きになりたいと思うし
何でかな、あんたとだと
悪態つきながらも自分でいられる。
奏多:じゃあ⋯俺と付き合ってくれ!
少しずつでいいんだ、俺らのペースでいいから⋯
少しでもあいりと一緒にいたいと思うのは
ワガママかな。
あいり:わかった。
あたしたちはあたしたちのペースで
付き合ってみよう。
私も⋯、早くこの気持ちにケジメつけるから。
その⋯よろしくね。
奏多:あいり⋯!
紗英:押さないでよ瑞希!⋯あ、あいり。
あいり:紗英!
瑞希:ご、ごめん、気になって。
あいり:瑞希くんまで~!⋯どこから⋯。
瑞希:⋯和泉くんの「俺と付き合ってくれ!」
くらいから⋯ごめん。
あいり:⋯タイミング最高ね。
紗英:こ、これはあいりと和泉くんは
恋人同士ってことでいいのよね?
あいり:まぁ、そうなるわね。
瑞希:やったー!
じゃあこれからは4人で一緒に帰ろうよ!
紗英:あら⋯和泉くん固まってるわよ?
あいり:あー、ごめん2人とも、
すぐ戻るから先教室入っといてくれる?
紗英:わかった。行きましょ瑞希。
瑞希:2人でごゆっくり〜!
あいり:さて、先生来る前に何とかしなきゃ。
あいり:石になった奏多をこっち側へ引き戻すには⋯
あいり:⋯⋯やっぱりお姫様のキスかな?
あいり:今はこれが精一杯だけど⋯
(頬にキス)
奏多:はっ!!な⋯なっ⋯!?今、ほっぺにキ⋯!
あいり:おかえり。
奏多:あいり⋯今⋯
あいり:この続きは少しずつね!
奏多:へ⋯⋯?
あいり:ほら、早くしないと先生来ちゃうよ。
あいりに付いてこないと
すーぐ置いて行っちゃうからね!
あはははははっ
奏多:おい待てよーーっ!
あいり:(N)人生は何が起こるか分からない。
だから面白いって誰か言ってたっけ。
あなたがくれた四つ葉のクローバー。
だけど私は王子様を待つだけのお姫様じゃない。
運命に任せて気まぐれに流れてなんかやらない。
未来は、自分で切り開くんだ。
~完~
「CLOVERに思いを寄せて」(4人声劇台本) 深海リアナ(ふかみ りあな) @ria-ohgami
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