未来魔法でイレギュラーハンター

デルタイオン

第1話 イレギュラーハンターとロボット

上空に浮かぶ人影。小さく、大きい人影兵器。いつしか見えなくなる不思議な……いや、怖い?怖いのだろう。


「またか……もうカンベンしてくらぁ……」


畑仕事中の男が言う。そうだろうさ……だからこそ。マリーナサイズが居るんだよ。


(違う……もういいぞノール)


空間が歪む。違うだろう。コックピットのパネルが縮んでいく。


ノールと呼ばれたロボットはコックピットに冷気ガスを注入し、覚醒を促す。


「そうか、ノール。コールサインゴブリンに通信繋げ」


『なんだ?』


「敵は上空だ。やれるか?」


『イレギュラーの言い分なんて聞きたかねぇが!!居るならお手柄だ!!』


ゴブリンが飛ぶ。緑色の装甲。赤く発光するパワーが空を飛ぶ力を授けてくれている。


「皮を裂くような飛び方をする!?」


こちらもすぐに追い付こうと飛行を開始する。


「レーダーは……やっぱり使えないか……」


このロボットは元々レーダーなどを積むよう設計されていないのか、簡素なレーダーを機体外に強引に取り付ける事しかできなかった。機体構造も既存のロボットとは違い、少々異型な形でコックピットすら無かった。ロードアウト時にどのように製造されたかは知らないが、既存の部品が少なく。完全オリジナル製造であることがわかる。


『敵を発見!!数は1!簡単にやれる!!』


「駄目だ!!」


カコンと缶詰が金属に当たる音がした。同時にゴブリンが落ちていく。


『だらせぇ!?』


「そうやって従ってるから墜ちるんだ!!」


幸いコックピットを外し、飛行系の機器が破壊されただけのようだ。落ちていくが、パラシュートで脱出できるだろう。


だが、それよりこっちだ。敵は2機。1機は囮。もう1機がスナイパー狙撃手。雲を境に向こう側に居るのだろう。


「クソ……」


今はどちらも見えない。こんな高高度じゃ逆に危ないかもしれない。地上に降りて救援要請を……いや、多分敵はまだこちらに気が付いていない。ならばこっちから仕掛ければ1対1に持ち込める可能性がある。


「………銃を持て。やれるはずだろ……」


ノールの装甲が震えた気がした。

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