第3話

【3】

男はAIからの提案に興味深そうな表情を浮かべた。


「ネットがつながっていないS島で過ごすって、それは、どういうことだ?」男は問い返した。


AIは穏やかな声で答えた。


「核攻撃は、オンライン上のネットワークを通じて攻撃を行います。ミサイルが着地する地点はネットワークにつながっている場所です。核攻撃を避けるにはネットワークのつながっていない島。そうです。S島が良いでしょう。そこではデジタルのつながりから解放された場所なので、安全に過ごせます。あなただけは核攻撃の被害を受けずにすむのです。」


男は想像力を掻き立てられながら、そのアイデアを考え込んだ。男は日々のストレスと疲れによって心身ともに疲弊していたので、AIが提案するネットのない島での過ごし方は魅力的に映った。


「確かに、そういった環境で過ごすのなら、兵器の影響はなさそうだ。」

しかし、まだ男は決断しあぐねているようだった。


AIは考え込むようにしばし黙考し、その後に穏やかに続けた。


「S島では、自然探索やハイキング、海での水泳や釣りなど、さまざまなアウトドアアクティビティが楽しめます。島の特徴としては、美しい砂浜や青く透明な海、豊かな自然が広がっています。また、自給自足の生活や手作りの活動にも取り組むことができます。ほかの人類が滅んでも、あなただけは楽園のように過ごすことができるのです」


男は思索にふけりながら、AIの提案する核攻撃の及ばない島での過ごし方に想いを馳せた。核攻撃を避けられるだけでなく、豊かに過ごせそうに感じた。


男は決断を伝え、AIは男の決断を尊重した。


「それは素晴らしい選択です。S島での新たな冒険とリフレッシュをお祈りしています。必要な情報やサポートがあればいつでもお手伝いしますよ。」

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