#0007 美術展

混雑した美術展でその絵の前だけはやけに空いていた。

真っ黒に塗られた絵からは、指のようなモノが突き出ていて、額縁を掴んでいる。ふと寒気を感じてその場を立ち去る俺と入れ違いに女性が一人、その絵の前に立った。

何気なく振り返ると女性は消え、指の位置がずれていた。

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