勇者召喚に巻き込まれた幼女が闇属性特化だった件
ふぃるめる
第1話 幼女、異世界転移に巻き込まれる
お稽古ごとの帰り道、突然白い光と浮遊感に包まれた私は今―――――
「ふぎゃぁぁぁぁぁぁッ〜〜〜〜た〜しゅけ〜てぇ〜!!」
空から真っ逆さまに落下しています。
ひょっとして私、何か悪いことしちゃった?
冷蔵庫のプリンをこっそり食べたくらいでこんな怖い目に会わなきゃ行けないのかな……。
「なんでもいいから、誰でもいいからぁッ!!」
だんだん雲が薄くなってきて、地上が鮮明に見えてきた。
このままだと物凄い速度で地面にごっつんこだ。
日曜朝のプリ○ュアみたいな魔女っ子だったらこんなピンチもくぐり抜けられるだろうに……。
「お父さん、お母さん……先立つ不幸をお許しください……ってこんなことしてる場合じゃない!!」
地上が段々と近づいてきているのだ。
こうなったらもう神頼みしかないッ!!
そう思って空を見上げると、見慣れない生物が飛んでいた。
まるで男子の裁縫道具にありそうな生物で……というか本物のドラゴンだった。
ひょっとして……ここはファンタジーな世界なのでは!?
それならもしかして……魔法もあったりして!?
ちょっとした思いつき。
でも、残された最後の希望がそれだった。
「ふんッ!!」
目を瞑ってトイレなみに力んで全神経を指先へと集中させる。
微かに感じた糸みたいな何かを決して離さないように手繰り寄せた次の瞬間―――――身体全体から何かが溢れ出した。
「何これ……」
恐る恐る目を見開くと驚きのあまりに言葉を失った。
私の身体から溢れ出していたのは、
「……絶対敵キャラじゃん……」
見るからに悪とか呪いとかそういう感じの連中が使いそうな魔法(?)だった。
困った時以外は、使わないようにしとこ……。
溢れ出した光が体重を受け止めてくれたのか急速に落下速度が落ち、メリーポピンズもびっくりのゆるふわ感で着地した。
「お嬢ちゃん、こんなところでどうしたんだい?」
降り立った道をしばらく歩いたところで後ろからやってきた馬車に声をかけられた。
「降ってきた……」
「はぇ?」
素直に打ち明けても信じてもらえるはずはなく、馬車のオジサンは首を傾げた。
「いきなり知らない所に飛ばされちゃってるし……どこか、街まで乗せてもらってもいいですか?」
見知らぬファンタジー世界で日本語が通じることにはもう違和感は無かった。
ドラゴン飛んでたし、魔法みたいなのもあったし……。
◆❖◇◇❖◆
「な〜んか五人召喚しちゃった気がするんだよね……」
ロンバルディア王国の王都べルシアの王宮は、召喚を行った王女の一言で混乱に陥っていた。
「そこにおる四人だけでは無いのか?」
国王の問いに王女はしょんぼりでした顔で頷いた。
「しかも
「私の失態よ……だからせめて埋葬だけはしてあげたいわ。そう遠くは無いところに召喚されただろうし探して欲しいの」
本気で申し訳なく思っているのか王女は、国王に懇願した。
「確かにそれもそうだろう。もし仮にも生きていたとすれば、ある程度の生活が可能なようにお金も渡そう」
王は鷹揚に頷くと、王女の頼みを受けて巻き込まれた幼女の捜索を開始させるのだった。
そんなことが起きてることなど
「お嬢ちゃん、達者でな!!」
「オジサン、ありがとう!!」
数時間乗り続けた馬車とは別れて、王都へとやってきていた。
ちなみに身分証明のできるものなどあるはずもなく、荷台に積まれていた荷物に隠れての不正入国だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます