第117話 滅びですら滅ぼす者
「せっかくだ。特等席で破滅ショーを見せてやるよ。モニターを出して。秘密の島の映像を映して。上空のやつ」
マルク・セットゥの声に反応して大型モニターが天井から降りてきて映像が映し出された。
最新の機能なんだろうけど、なんか間抜けだなぁ。
でも状況は最悪だ。
島の中から
いちにぃさん……数えきれないけど百体以上いるかなぁ。
もう無理だよね……
「勇気君、僕の力を使えば倒せるか?」
怪盗ガウチョパンツの問いかけに増子さんが無言で首を振った。
そうだよね、1、2体だったら勝てるけど、あんなにいたら勝てないよね。
急にしず子さんが増子さんの腕を掴んだ。
「しず子さん?」
「行かせないわよ。一人でなんて」
「何で……」
「仲間の考えている事くらい分かるわよ」
「いいねぇ。友情って! でもそれも終わりなんだけどね」
「痛い目に遭いたくなければ今すぐ止めろ!」
怪盗ガウチョパンツが折れた杖をマルク・セットゥに突きつけた。
「無駄だよ。言っただろ? 私にも止められない。世界は終わるのだよ」
「くっ。こんな事で……」
怪盗ガウチョパンツもダメか。
あっ、そういえば味方に神様いるじゃないか!
「増子さん! ハバっちゃんに助けてもらえるかな!」
「そうだったな。聞こえるかハバっちゃん?」
増子さんが通信用のブレスレットに話しかけた。
「どうした増子お嬢さん」
「
「それは出来ない。今の時間は来客が多いのでな」
「店の手伝いは僕がやるから頼むよ!」
「それは出来ない。人の世の出来事に干渉は出来ない」
えええっ!
ガッツリ干渉して喫茶店でバイトしてるのに?!
神様が簡単に助けてくれない事は分かるけど、世界が終わったらどうするの?
「どうしたらハバっちゃんは助けてくれるんですか?」
「助ける必要もないだろ。クラブハウスサンドとカフェラテだな。承った。忙しいのだ。これ以上話しかけるな!」
ハバっちゃんから一方的に通信を切られてしまった。
もう戦う術がない。
みんなうなだれているのだ。
カツン、カツン。
通路の方から何かをつく音が聞こえた。
誰かが近づいている。
皆に緊張が走った。
誰だろう?
マルク・セットゥの仲間の七つの大罪かな?
ジュッ! ギィイッ。
何かが焼ける音の後、重い音を立てて扉が開いた。
「待たせたね!」
現れたのは
聞こえていたのは
「
僕は
「あっははは! 何がくるかと思ったら少女か! 何を期待してるんだお前達は!」
マルク・セットゥはバカにして笑っているが、僕たち全員は安心した。
ハバっちゃんの言う通りだ。
「さぁ終わらせようか! 戦えるよねテプちゃん?」
戦う? 僕が?
そうだ!
僕も戦うんだ!
僕には怪盗ガウチョパンツを鍛えるついでにハバっちゃんにもらった力があるんだ!
「神獣王モードなのだぁ!」
僕の体から緑に輝く光が湧き出し、一メートルくらいの巨体になったのだ!
「テプちゃん乗るよ」
僕の上に
これで準備完了なのだ!
「無駄な事だ。滅びは避けられんぞ!」
「滅びですら滅ぼすのが究極魔法。一撃で形勢を覆すのが大魔導師なんだよ!」
「信じてるよ
「必ず帰ってきてね! 怪我をしても必ず治すから!」
「弱い僕の代わりに世界を救ってくれ!」
「テプ! 主役の座は譲ってやるよ!」
「俺っちは寝てるから頑張れよ!」
みんなが応援してくれた。
ここからは僕と
僕は
向かうのは
居場所を教えてくれたから目的地がハッキリしていて楽だよね!
下を見ると映像で見たように
でもまだ海は渡っていない。
今なら島から出る前にやっつけられる。
「
「
「でも、あれは陣形効果で強化しないと使えないよね?」
「大丈夫。今のテプちゃんなら、あの時より強い力を使えるよ」
「うん。頑張ってみるよ」
「じゃぁやるよ!」
らゆる次元において 比類なき
「咲き誇れ!
真紅の極大
一瞬で焼き尽くされ消滅する島。
滅びの悪魔ですら一瞬で滅ぼす破滅の極大魔法。
これが僕たちの力なのだ!
ブアッ!
強烈な爆風であおられた。
魔法発動時に発生する魔法障壁がなかったら丸焦げになっていたよ。
でもおかげで世界を救えたよ!
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