第85話 強欲のセッテ
「さて、何から聞きたい? 私の目的かな?
アクイアス・セッテが偉そうに言った。
知りたい事か……何から聞こうかな?
そうだ!
「弱点は?」
「何でそうなる! 何も聞かずに私を倒す気か?!」
「そうですよ」
「そうですよとは何だ! 失礼な奴め! こういう時は話を聞くのが常識だろ?」
「何処の世界の常識だろう……じゃあ次の質問。手に入れた鉱魔のコアは何処にありますか?」
「鉱魔のコアか。それならここにある」
アクイアス・セッテが白衣を広げると、内側に沢山のポケットがあるのが見えた。
あの中に今まで手に入れた鉱魔のコアが入っているんだね。
素直に教えてくれるとは思わなかったよ。
部下の魔法少女達の力を過信しているんだね。
純粋な火力で
このままアクイアス・セッテを倒せば、全てのコアを取り戻せる。
今日決着がつけられそうだね。
でも、今は戦力不足かな。
僕と
このまま会話を続けて時間稼ぎをしよう!
「鉱魔のコアを使って何をーー」
「もらったぁあああああ! アンブレラァーンス!!」
突如現れた怪盗ガウチョパンツが傘でアクイアス・セッテの脇腹を突いた。
「何をするんですか! 危ないじゃないですか! 大人なのに、そんな事をして恥ずかしくないんですか?」
「ふざけるな! そんな世迷言で私の必殺技を封じれると思ったか!」
「ここは小学校なんですよ! 子供が真似したら危険でしょ! 二度とやらないで下さい!!」
「す、すみませんでした……」
怪盗ガウチョパンツがアクイアス・セッテに謝罪した。
何してるの怪盗ガウチョパンツ。
敵であるアクイアス・セッテの方がまともな事を言っているよ……
僕が最初に使った魔力玉を検知して駆けつけてくれたのは嬉しいよ。
でもね、僕が待っている助っ人は怪盗ガウチョパンツではなくて、しず子さん達なんだよね。
気を取り直して時間稼ぎ再開だ。
「ねぇ、大賢者さん。鉱魔のコアを集めて何に使うの?」
「鉱魔のコアの使い道か。そもそも鉱魔とは何か気付いているのか?」
「鉱物の力を得た狂暴な動物ですか?」
「それは違う。鉱魔とは自然界から鉱物の力を摘出した時に生まれたものだよ。私の魔法と科学の知識を用いてね」
「自然界の力を摘出したもの? 何でそんな事をしてるのですか?」
「手に入れるためさ。そこの魔法少女もどきとは違う、本物の世界の力を手に入れる為だ。見てみろ! 私が用意したまがい物とは違う本物の輝きを!」
アクイアス・セッテの白衣から6色の光が放たれた。
確かに
でもね……鉱魔から町の皆を守ろうとしていた
「そんな輝き大した事はないね。僕はもっと凄い輝きを知っているんだから!」
「強がりを言うな。これを見ても強気でいられるかな?」
アクイアス・セッテの白衣から鉱魔のコアが飛び出し、動物の形に変わった。
狼、馬、鹿、豚、ウサギ、熊……今まで倒した鉱魔たちだ!
6体の鉱魔がアクイアス・セッテを守る様に囲っている。
どうしよう?!
援軍を待っていたら、逆に相手の戦力が増えちゃったよ!
「ビビッて何も言えないようだね。私は手に入れたのだよ。鉱物の力を! 笑えると思わないかね? 私を妨害してきた鉱魔が私の力となったのだ」
「妨害? 鉱魔が?」
「いかにも。素直に私の力にならず、動物の形をとって抵抗して来たのだ。でも、それも無駄な事だった。私が開発した魔法、エンジェリック・スメルティング で再溶解して黙らせられたからね。大賢者である私に不可能はないのだ」
「不可能はないのに、何で鉱物の力を手に入れようと思ったの?」
「手に入るからだよ」
「手に入るから? 理由になっていないように聞こえるけど」
「分からないのか。私は大賢者。この世の全ての知識が欲しい。この世界の全ての力が欲しい。手に入る物は全て手に入れたい。鉱物の中には宝石もある。鉱物の力を得れば、この世の全ての財を手にする事だって出来るのだよ」
「強欲ね」
声がした方を見ると、しず子さんと増子さんがいた。
やっと来た!
来てくれるって信じていたよ!!
「それがどうした。大賢者とは人類の全ての
「悪いわよ。七つの大罪、強欲のセッテ。こんなものが、師である先代のアクイアス・セッテを殺して手に入れたかったものなの?」
「何をおっしゃる? 私は師の教えを守っただけですよ。欲しい物は全て手に入れろ。それが師の教えだったのでね。だから師が手にしていた大賢者の地位と名誉を頂いただけですよ」
「七つの大罪は私が倒す。一人残らずね」
「気負い過ぎだよ。落ち着いて戦おう。逃げ遅れた生徒を守る方が大事だよ」
直ぐにでもアクイアス・セッテに飛び掛かりそうだったしず子さんを増子さんが制止した。
敵はアクイアス・セッテ、魔法少女3人、鉱魔6体。
こちらは
そういえば怪盗ガウチョパンツもいたっけ?
まぁ、怪盗ガウチョパンツがいても戦力不足なのは変わらないんだけどね……
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