第81話 さらに魔法少女登場!!

 蒼羽あおはさん達を説得した翌日から僕達の共同作戦が始まった。

 今回出て来た鉱魔こうまは巨大な犬の姿をしている。


「あれはクンツァイトの鉱魔。未回収の鉱魔よ。亜夕美あゆみ、敵の動きを止めて!」

「分かったわよ。智慧ちえの戦士! アクアオーラ参上!」


 蒼羽あおはさんの指示を受けた亜夕美あゆみさんがオーラクリスタルを天に掲げて変身した。


「ウォーターウイップ!」


 水の鞭で叩かれた鉱魔が怯む。


燐火りんかちゃん、止めを刺そう!」

「了解だよテプちゃん」


 燐火りんかちゃんが愚者ぐしゃの杖を具現化し、詠唱を始めた。


 猛獣の牙より鋭き劫火の牙よ

 我に仇なす全ての敵を絡め取れ

 出でよ! 樹木の如き生命の花!


「蹴散らせ! 珊 瑚 刺 火コーラルツリー!!」


 機敏に動き回れる犬の鉱魔であったが、ウォーターウイップの攻撃で弱っている上に、複数の炎の花弁に囲まれては逃げ切る事は難しい。

 一瞬で灰になる鉱魔。


「シッカリ写真とったんだろうな?」

「ばっちりだよ。ほらっ」


 増子さんがスマホの画像を星七せいなさんに見せた。


「よく撮れ出るじゃねぇか。次に出てくる時が楽しみだな」

「みんなで共有しましょ~」


 しず子さんの提案で全員で写真を共有した。

 次に犬の鉱魔が出現した時に写真を比較して同じ個体かどうか確認するのだ。


「今日は解散しましょう!」


 僕の号令で直ぐに解散した。

 明日も活動しなければならないからね。

 私生活に影響が出ないよう、目的を果たしたら直ぐに帰った方がよい。


 ーー翌日の放課後。

 再び犬の鉱魔が出現した。

 昨日と同じように亜夕美あゆみさんのウォーターウイップで動きを止めて、燐火りんかちゃんの珊 瑚 刺 火コーラルツリーで止めを刺した。

 これから毎日同じ敵と戦うのだから無駄は省いた方が良い。

 タイムアタックしたら楽しくなるかな?


「昨日の鉱魔と同じじゃなかったよ。毛並みが微妙に違ってる」


 今日も写真係を務めてくれた増子さんが言った。


「やっぱりそうなんだね。怪盗ガウチョパンツ通り、同じ鉱魔は存在しないみたいだね」

「犬型でクンツァイトの力を持っているのは同じね」


 蒼羽あおはさんの情報は有り難い。

 僕も燐火りんかちゃんも鉱石や宝石の事は詳しくないからね。


「さっさと帰るぞ。お疲れ!」


 今日は星七せいなさんが先に帰ってしまった。

 僕達が連携した事で、回復役の星七せいなさんは出番が無くなってしまったから、つまらないのだろう。

 僕達も時間を無駄に出来ないから直ぐに帰る事にした。

 これは持久戦なんだ。

 大賢者が痺れを切らして出てくるには時間がかかるだろうからね。


 ーーさらに翌日の放課後。

 今日も犬の鉱魔が商店街で暴れている。

 さて、日課の鉱魔退治を始めようかな!


「ねぇ、テプちゃん。あれは何?」


 突然燐火りんかちゃんに呼び止められた。

 指を差す先を見ると3人の魔法少女が走ってくる姿が見えた。


「何ってどういう意味? 蒼羽あおはさん達でしょ?」

「なら、お姉ちゃんたちは誰?」


 何を言ってるのだろう?

 隣にいるのは蒼羽あおはさん達に決まってるでしょ。

 蒼羽あおはさんを見ると、怯えた顔をしていた。

 どうして幽霊でもみたかのような顔をしてるの?

 最強の僕達が恐れるものなど無いハズなのに。

 あれっ、蒼羽あおはさん達が隣にいる?!

 それなら、あの魔法少女達は誰っ?!


いやしの戦士! コスモオーラ!」

智慧ちえの戦士! アクアオーラ!」

「希望の戦士! エンジェルオーラ!」


 魔法のステッキを持った3人の魔法少女が現れた。

 コスモオーラ……アクアオーラ……エンジェルオーラ……3人とも蒼羽あおはさん達が変身した時と同じ服装をしている。

 顔と声が違うから別人だけど、たぶん同じ力を持っていると思う。


いやしの戦士! コスモオーラ!」

智慧ちえの戦士! アクアオーラ!」

「希望の戦士! エンジェルオーラ!」


 同じ力を持った魔法少女の登場で危機を感じたのだろう。

 蒼羽あおはさん達も変身をした。


「この偽物が! 俺達のモノマネをするとはいい度胸だ!」

「姿を真似た所で知識まで同じとは限らない」

「一体何者なの?」


 蒼羽あおはさん達が問いかけると、エンジェルオーラが前に出て語り掛けて来た。


「私たちは大賢者アクイアス・セッテから力を授かった魔法少女。鉱魔を倒し、その力を大賢者に捧げるのが使命」

「ふざけるな! それは俺たちの使命だ」

「その通りです。その為に私たちは大賢者から力を授かったのですから」

星七せいな亜夕美あゆみ、落ち着きなさい。私は蒼羽あおは。貴女たちと同じ大賢者アクイアス・セッテに選ばれた魔法少女。貴女たちは何者?」

「私はエンジェルオーラ。鉱魔を倒す存在」


 蒼羽あおはさんの質問に無表情で答えるエンジェルオーラ。

 そういう意味ではないと思うのだけど。

 たぶん、蒼羽あおはさんは魔法少女としてでなく、彼女達自身を知ろうとしたのだと思う。

 だけど会話がみ合わない。

 まるで洗脳されているかの様だ……


「申し訳ないけど鉱魔を倒すのは待って欲しい。私たちには確かめなけらばならない事があるの」


 エンジェルオーラが魔法のステッキを構えた。


「馬鹿か? 俺達は鉱魔じゃないんだぜ。お前の魔法が利くはずないだろ? ほらっ、やるなら蒼羽あおはじゃなくて、俺に撃ってみろよ!」


 星七せいなさんの挑発をうけたエンジェルオーラが標的を変えた。


「ジャッジメント・カッター!」


  魔法のステッキから光の刃が放たれ、星七せいなさんに直撃した。

 魔法の衣装のお陰で致命傷はさけられたようだが、星七せいなさんがぐったりして動かなくなった。

 エンジェルオーラが攻撃魔法を放った?!

 この魔法少女達は危険だ!!

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