第58話 天井から死体?!
「隠しても無駄ですよオーナー。死体は隠せないですからね。被害者について詳しく教えてもらえますかね?」
「死体なんてもうないですよ! 警部さんだって知っているでしょ?」
「私が知っている? おかしいですね、まだ死体を見ていないんですけどね?」
「見てるはずはないでしょ! 営業妨害で訴えますよ!」
「確かに殺人が起きたら旅館運営に影響が出ますな。だから隠したと?」
「隠してなんかいませんよ! 何でこんな事になったんだ……」
「それを突き止めるのが我々の仕事ですよ。第一発見者はオーナーですかな?」
「いえ、私です」
えっ、本当に殺人事件があったの?!
魔王さんの妄想だと思ったのに!
もしかして魔王さんやっちゃった?
「なるほど、それで凶器は見つかっておりますかな?」
「凶器なんてないですよ。首をかみ千切られていたのですから……」
「なるほど。殺人事件だからといって、犯人が人間とは限らないですよね。いやぁ、推理するまでもなく犯人が特定出来て良かったですよ。女将さん、ご協力ありがとうございます」
「犯人はお前だ! そこのウサギ!!」
ええええええっ!!
僕が犯人?!
嘘でしょ!!
「まって下さい。テプ殿は私達とずっと一緒でしたよ。殺人なんて出来ませんよ」
「自白してくれるとはね。ウサギが自発的に殺人を行う事はない。貴方ですね、このウサギに殺人をさせたのは。その前歯で首筋に
どうやら
どうしよう?
このままでは条さんまで捕まっちゃう!
「なぁ、敵なら滅ぼしても構わんだろ?」
魔王さんが右手を
うぎゃああああっ!
魔法少女とも魔女相手でも戦う素振りすら見せなかった魔王さんが戦闘モードに入っちゃったよ。
「なんだその槍は! 銃刀法違反だ!!」
「槍でも銃刀法違反になるのか? 刀ではないぞ!」
「なるに決まっているだろう!
「いやっ、明比警部。そんな大げさにしなくても……」
「何を言っている! そんなだから
大変そうだな
いつもこんな風に
おおごとにならない様に考えてくれている良い人なのに可哀そうだな。
少し待っていると
僕に使うつもりじゃないよね?
「警部さん、アリバイとか聞かないんですか? 僕は犯人じゃないんですけど」
「ウサギが
「驚いていないでアリバイ聞いて下さいよ!」
「それは
はぁ……ため息が出ちゃったよ。
この警部さんがプロファイリング出来るとは思えないなぁ。
「
「まぁ、犯人は確定しているから良いだろう。首をかみ千切れるだけの出っ歯の宿泊客がいれば別だけどね。ガッハッハァ!」
宿泊客だけでなく、部下の
でも、いくら
このまま警察の応援が来たら、僕捕まっちゃうのかな?
困ったなぁ……
ガガガガウッ! ガガガガウッ! ガガガガガウチョ!!
こ、この曲は!!
「話は聞かせてもらった! この事件の主役は私が盗ませてもらう!!」
天井からダサいセリフが聞こえた。
何でいるの、怪盗ガウチョパンツ……
「誰だ! 姿を現せ!!」
事情を知らない
バギッ!
物凄い音がしたと同時に天井からガウチョパンツが生えた。
何をしているのだろう……
本当は天井を突き破って登場するつもりだったのだろう。
でも、上半身が引っかかってガウチョパンツを履いた下半身しか出て来ていない。
「し、死体が天井から落ちて来た! オーナー! 天井裏に死体を隠していたのですな。これで言い逃れは出来ないですぞ!!」
駄目だ……この人達……
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