第19話 焼きそばパンが売ってない!
翼の生えた魔女と戦った後、しばらくの間は何も起きなかった。
魔女の襲撃はないし、謎の力を発揮した
平和なのは良い事だ。
今日は学校帰りに
何か欲しい物があるのかなぁ。
本当に疲れたなぁ……
「ないなぁ」
「
「焼きそばパン。焼きそばパンがない」
ふ~ん、
どうしたのだろう?
家に帰ったらママさんの夕食があるのに。
焼きそばパンが食べたいって事は、ママさんの夕食だけでは足りないのかなぁ。
どうやら
最初に入ったコンビニを出て、次のコンビニに向かった。
だが、そこでも焼きそばパンは売っていなかった。
「焼きそばパン人気だね。このお店でも売り切れちゃったみたいだね」
「次のお店に行く」
でも三店舗目も焼きそばパンは売っていなかった。
結局、焼きそばパンを買えずに帰宅した。
「おかえりなさい」
「ママ、焼きそばパンある?」
えーっ!
ママさんにまで焼きそばパンを要求するの?!
「ごめんね、焼きそばパンは無いわよ。今日の夕食はシチューなの」
「焼きそばパン……焼きそばパンが欲しい! 何で焼きそばパンないの!!」
どどどどどういう状況?!
僕はどうして良いのか分からなかったし、ママさんも困っている。
「泣かないで、明日は焼きそばパンにするからね」
「嫌だ! 今欲しい!!」
トラブルは突発的に起きるものだなぁ……
「ごめんね、テプちゃん。
「そうなんですか。僕が買いに行きましょうか?」
「テプちゃんが買いにいってくれると嬉しいわ。お夕食の準備中だから」
「任せて下さい!」
僕は胸を張って答えた。
「宜しくね」
ママさんが小銭入れに紐をつけて、僕の首にかけてくれた。
よしっ!
僕は
少しはサポートしないとね。
僕は意気揚々と飛び出した。
だけど、スーパーでも焼きそばパンは売っていなかった……
どうしよう。
偉そうに任せて下さいって言ったのに焼きそばパンが見つからない。
コンビニとスーパー以外で焼きそばパンが売っていそうなお店はあったかなぁ……
「あらあら、テプちゃん。どうしたの? 一人でいるのは珍しいわね。お買い物?」
「
あっ、しず子さんとオハコだ。
「
「コンビニとスーパー以外かぁ……ないわね」
「そうですか……別の場所を探してみます」
「待って!」
僕はスーパーを出ようとしたが、しず子さんに呼び止められた。
「どうしたのですか?」
「焼きそばパンは売っていないけど、焼きそばパン自体は手に入るわよ」
焼きそばパンが売っていないのに、何で焼きそばパンが手に入るの?
僕はしず子さんが言っている事が分からなかった。
「少し時間がかかるけど大丈夫かな?」
「夕食まで少し時間があるから大丈夫です」
「良かった。ついて来て下さいね」
黙ってついて行くと、しず子さんが買い物カゴに焼きそばとパンを入れるのが見えた。
そういう事か!
売っていないなら、作れば良いって事なんだね。
買い物を終え、しず子さんの自宅で焼きそばパンを作ってもらった。
しず子さんが出来上がった焼きそばパンを袋にいれて、背中に背負えるようにしてくれた。
少し重たいけど、これなら持ち帰れそうだ。
「しず子さん、ありがとうございます!」
「どういたしまして」
しず子さんのお陰で無事に焼きそばパンを入手する事が出来た。
あとは
僕は帰宅した後、
「
どうしたのだろう?
待っていると、
食べろって事?
良く分からないけど、僕は一口焼きそばパンを食べた。
「美味しい?」
「美味しいよ」
「元気出た?」
元気出た?
そういう事か。
疲れ切った僕の為に大好物の焼きそばパンを探してくれていたのか……
僕は嬉しくて涙が出て来た。
「どうしたのテプちゃん? 大丈夫?」
「大丈だよ。美味しくて涙が出ただけだから」
「良かったぁ」
普段は扱いが雑だから大切にされていないかもしれないと心配になる事もあったけど、本当は大切に思っていてくれていたんだね。
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