となりの部屋

健さん

第1話

俺の名は、稲田陽一。45歳。独身。実を言うと、今住んでるアパートが、更新期間となり、新たに更新料を支払わなければならなくなったので、手ごろなアパートを探していた。ある日。大型ショッピングモールで、久々に中学の同級生の牛山拓郎と、会った。こいつには、中学時代よくいじめられた。意味もなく頭を叩かれたり、イスに画びょうを置かれて、ものの見事に肛門様に刺さったり、机の中に無数のカエルを入れられたり靴置き場で、靴の中に水を入れられたりされたものだ。今思えば、幼稚な、行為だけど。性格もはっきし言って悪い。「よ~久しぶり!元気か?」なんだか、こいつ物腰柔らかになったな。顔つきもよくなった感じ。俺は、牛山に言った。「そういえば、お前んち不動産屋だったよな。お前今やってるの?」「親父は、もう引退して、俺が継いでいるよ。」「あっそうか、ちょうどよかった。今さ、アパートさがしてるんだが、どこか、いいところないかな?」すると、待ってましたと、ばかりに、「いいのあるぜ!同級生のよしみで安くしてやるよ。」ほんまかいな!牛山っていいやつじゃん!「早速見に行こうぜ!」そのアパートは、〇×駅より10分歩いたところにある、築15年で、青色の壁で、爽快感のある、アパートだ。名前も、”ブルースカイハイツ”。しかも、家賃は、4万円。この辺の相場となれば、7万円と聞く。こんなに安くしてもらっていいのかな?部屋は、2階の2号室。1階と2階で、合せて8室だ。本当は、角部屋の1号室が、よかったのだが、もうすでに、契約済らしい。俺は、4の5も言わず契約した。歩いて2分くらいのところに、コンビニもあるし、なんたってあーた、近くに市立病院の看護婦寮もあるのだ。(別に関係ないか。)とにかく、前のアパートよりも、快適だ。しかし、それも、一変する出来事が。このアパートにきて、ちょうど、1週間経つ。その夜、壁から、”ドスン、ドスン”と音がする。1号室いつの間に引っ越してきたのね。そのうち、挨拶にくるかしらん。若い女が、いいな。それから、何日か経ったが、挨拶には来なかった。まあ、今時そうゆうものかな。それから、特に気をとめることもなく生活していたが、また、夜中に”ドスン、ドスン”と衝撃音が。そのうち、喘ぎ声?悲鳴みたいな声が、聞こえてくる。「もういや~!助けて~!」(助けて?おいおい、大丈夫か?)そのうち、静寂になった。なんだよ!Hしてるのか?独身のおいらには、すこぶる毒だよ。俺は、布団被って寝た。しかし、次の日も次の日も、同じパターンで、聞こえてくる。しかも毎回夜中の2時に。丑三つ時になぜ?おいおい、いい加減にしておくんなせい。”もういや~、助けて”って、俺のセリフだよ。翌朝俺は、建物の裏側に行き、1号室のベランダを見た。あれ?カーテンしてないじゃん。ん??どうゆうことズラ。普通カーテンするよな?まあいいや、今度また騒音したら、文句言いにいくぞ。そして、その日の夜、寝ようかと、布団に潜った時、♬ピンポーン!誰か来たようだ。ドアを開けると、若い女だ。30代くらい?「夜分すみません。挨拶おくれましたけど、隣の者です。すいません、水いただけませんか?」「はあ?水??水出ないんですか?」「はい。出ないもので。」俺は、仕方なく、コップに水をいれて、渡した。その女は、うまそうに、飲み干した。」「ありがとうございました。」そう言うと、部屋に戻って入った。ちょっと、毎夜うるさいんだけどって、言いたかったが。しかし、その夜は、何事もなかった。次の日俺は、会社帰りに、牛山のところに寄った。「おい、牛山!1号室どうなってんだ!騒音で、うるさいんだよ。おまけに、水が出ないからって、もらいに来るし。」すると、牛山は、怪訝な顔して、「隣って、3号室?」「1号室だよ!」すると、牛山は、中学時代のあの”イヤな顔に変わり、ニタニタしながら言った。「あー、そうなんだ。タダで?」「なぬ!タダとは?」「タダで、教えるわけにはいかないよ。ヒヒヒ。」「何がヒヒヒだ!」「個人情報だからな。」「何が個人情報だっつうの。」しょうがないから、俺は、牛山に1万円袖の下を通した。すると、牛山は、勿体ないぶりで、言った。「あの部屋1号室は、3か月前に夜、男に強姦に入られて、殺害されたんだよ。逮捕されたけどな。ヒヒヒ。今まで、3人1号室に入居したが、1か月と持たず退去して行ったよ。ヒヒヒ。」「くそ~!何がヒヒヒだ!お前”それ”をわかっていて、紹介しやがったな!ふざけるな!」そう言えば、こいつ、物件見てるとき、異様にニヤニヤしてたもんな。だから、家賃が、べらぼうに安かったのか!俺は、牛山の頭を、思いっきり、叩き、1万円を、取り返した。引っ越しだ!この日俺は、近くのビジネスホテルに泊まった。今は、弟のところに、居候させてもらっている。しかし、たまにだが、”あの女”が、”水ちょうだい”って、夢にでてくるのだが、、。お祓いしてもらおうかしらん。

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