My sweet home~恋のカタチ。20 --rose red--
森野日菜
第1話 Happy days(1)
「わ~、すごいすごい! もうハイハイみたいなのしてる~。」
夏希は翔がずりずりとリビングのラグの上を這っているのを見て大感激した。
「もうどこにでもこれで行っちゃうから危なっかしくて。 仰向けに寝てても足を動かしてずるずる動いたりして、」
萌香は夏希にゴハンの仕度をしてやった。
「よく笑うようになったし。 ぜんぜん人見知りしないで、かわい~~。」
夏希は翔を抱っこしてほお擦りをしてしまった。
「今日は高宮さんは出張なの?」
この日は斯波もいなかったので、夏希は彼らの家に会社帰りに寄ってしまった。
「ハイ。 ホテルのことなんですけど。 専務と箱根まで。 明後日には戻るらしいんですけど、」
いつものようにゴハンを元気よくかきこんだ。
「相変わらず忙しいのね。 大変ね、」
萌香は何も言わずに夏希のからっぽになった茶碗を手に2杯目をよそいに行った。
「この前みたく身体を壊さないか心配なんですけど。 今はちゃんと週に1度はお休みさせてもらっているし。 でもなかなかお休みが合わなくて。」
「寂しいわね、」
「まあ。 でも、ずうっとこうだったんで。 慣れちゃったってゆーか。 あたしもお休みの日は友達と出かけたり、あんこをチャリンコに乗っけて大きな公園に遊びに行ったりしてるし。 でも! 今年の夏休みはたくさん取って旅行に行こうって計画してるんです!」
夏希は嬉しそうに言った。
「そう。 よかったわね、」
萌香は自分のことのように喜んだ。
「でも・・」
夏希の声のトーンが少し落ちた。
「ん? どうしたの?」
「・・・・」
急に押し黙ってしまった。
「え? 何かあったの?」
数々の二人のトラブルを見てきた萌香は少しドキドキした。
「まあ・・まだ気にすることでもないと思うんですけどぉ~~。」
「え?」
「でもなんでだろーって。 最近ちょっと悩んでるんですよお。」
「・・何を?」
萌香は彼女の顔色を伺った。
「・・だから。 その・・」
急に歯切れが悪くなった。
「もう、どないしてん・・」
少しイラっとした。
「なんで・・できないんですかね????」
夏希はガバっと顔を上げた。
「はあ?」
「・・赤ちゃん。」
萌香はしばし固まった。
「やっぱあたしがダメなのかなあとか。 てゆーか! 月に1~2回とかって、おかしいんですかね????」
いきなり夏希は立ち上がって絶叫(?)した。
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