タイムマシンもないのに図書室で貴女に会ったから。
明鏡止水
第1話
白くは無い。壁は所々ひび割れているいる。
ベッドがあり、そこには、最愛の乙女が眠っている。丸椅子に座りながら、制服の少女は、眠っている乙女について、ただ、目覚めて、そして、どうか、ああ、怪我が手当されたのは知っているけれど、どうか交通事故のことを怖がらないでください。
先輩。
黒沼麗子先輩。
「せんぱい……」
あとはただ、病院の、この、先輩のための病室で、乙女と少女の時間が過ぎて。
黒沼麗子が目を覚ます。
「せんぱいっ、よかっ、た!ナースコール?せんぱい、嗚呼ッ!看護師さん……」
「まあ、璃子。あなた……
どうして制服なんて着ているの?」
黒髪の乙女、黒沼麗子が起き上がり、
「体が痛む、ねえ、璃子、あなた」
さっきまで、わたしとこうして指を絡めていたのに、
ああ、なぜ、昔の制服を?」
「せんぱい、どうして?どうしたんですか、だめ、まって、助けを呼ばなくちゃ」
黒髪の乙女、黒沼麗子とその後輩、一年生の年下の璃子。ふたりが出会ったのは……、
ああ、それよりもいまは。
不意の交通事故。それも璃子の目の前で麗子が自転車と衝突し、麗子は軽く体を打ち、その場に倒れた。
しかし。すぐに助けは璃子が呼んだ。学校の近くなのが幸いし、場所もすぐに伝えることができた。それなのにだ、一番初めにかけたのは救急と間違い、警察だった。
「ねえ、璃子、あなた、あなたなんて、幼いの?まるでお付き合いする前のよう……ッ!」
冷静に麗子が医者達に介抱されながら、璃子へ語りかける。
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