さぁさぁご覧の皆々様ぁぁぁ!!

霧雨煙草

皆様、ごきげんよう!!

人々が行きかう中で目立つものが

馬車と車の違いだけ。

元々いた世界も、

今いるこの世界も今の生活や地位を

維持する事に追われていたり

最底辺の人々は叶うかわからない希望に

手を伸ばしていた。


私は、そんな状況に少しでもスパイスのような

刺激を提供したいから

そんな思いが強いからこの世界に来たんだろうと

最近は、感じる事が増えた。

それとは別で、いきなりこっちに転移させたのは困ったし

ムカつくので出会い次第転移させてやつに

好き勝手言いまくる予定だ。

うん絶対に。

「座長!!準備終わりました〜!」


なんて考えを巡らせていると

横から機材を全部運び終わったのか

汗を拭って笑いながら人の良さそうな笑顔を

浮かべる音響担当のドワーフの少女。ガルグゥが言ってきた。


時刻は、昼をすぎ午後を回った所。


私達はこの国に来て通行人に聞いた。

よく流れの詩人が演奏しているらしい広場の一画で準備をしていた。

すでに音響確認でこちらに持ってきていた向こうの曲を流しているのも

あってか、もの珍しそうな表情を浮かべながら

1人と2人と人が集まってきている。

「ありがとう!それじゃ

ハルディとエルミルも準備大丈夫?」

言いながら横を見てみると


ピエロを模した仮面と衣装を纏った

狼獣人のハルディと興行用の

インクを確認しグッと親指を立てる

ハーフエルフで一座の芸術担当のエルミルがいた。

舞台用の仮面とフード付きの衣装を

身にまとった二人は準備万端とばかりに

二人とも頷き、ゆりもその反応を見て

満足気に頷くと、楽曲スペースにいるガルグゥに

確認する。

「マイクの準備と電源は?」

「バッチリです!

機材のほうも電力魔法で充電できてます!」

ガルグゥもささっと仮面をつけフードを被り準備を

終えている。

本当はお面を外して三人にもパフォーマンスを

させたいけれど

この世界では、人間以外の特徴や特技を持ったいわゆる「亜人種」

は奇異の目や差別にさらされてしまう。そこが自分のいた世界と似ていて

嫌になる。

「それじゃ..ゴホンッ

えー皆々様たいっへんお待たせいたしました。まずは、お忙しい

所足を止めていただきありがとうございます!!」

ガルグゥから、マイクを受け取り一つ咳払いをすると

すっかり大きくなった聴衆に向かって話し出し

一回軽くお辞儀をする。

ゆいの言葉を受けて何か始まるのだろうと

あちこちからまばらの拍手が聞こえる。

「ありがとうございます!まず最初にご覧

なっていただきますのは

奇跡の連続ナイフ芸少女ハルディィィ!!!」

ゆりと口上が派手になっていくと同時に

ガルグァの選曲も派手になっていき、それに迎えられるように

軽々とダンスをしながらハルディがナイフを器用に

回しこなし、空中に放り投げたと思いきや口や

足で器用にキャッチするなどのパフォーマンスを見せ

割れんばかりの拍手が巻き起こっていく。


これは、武力でも魔法でもない

「芸」で成り上がっていく一座の物語である。

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