しがない旅行記

@samegurid

第1記 自己紹介

これは旅行記であるが、旅をする話ではない。ところで、旅とはなんだろうか。


人生とは選択の連続である。なんて言葉を押し売りするつもりはないが、私たちが選択をした瞬間、世界線は増加する。


上記の選択は能動的選択と受動的選択を含むものとする。


一月十三日、雨が降っている。

頭が痛い。トースターにパンをセットし、コーヒーを淹れる。変わらない面白味のない毎日のルーティーン。食事、身支度を済ませ、鞄を持ち玄関を出る。


ご近所さんに会釈をしながら、憂鬱な登校路を歩く。特に雨の日は最悪である。

満員電車に揺られながら、起こり得ない妄想を頭の中で走らせる。起こりうるなどと期待などしていない。


学校に到着し、友達とたわいもない会話をする。

航「受験まであと一ヶ月しかないけど。行けそう?」

里奈「まあ、ぼちぼち。」

僕「航はいいよな、合格率80%以外とったことないんでしょ?俺なんて散々だよ。」

航「遺伝かな笑」

僕「また、勉強教えてね。」

航「任せろよ。」


先生が教室に入ってきた。ホームルームが始まり、いつも通りの内容の話を先生がし

ている。僕は窓から傘を刺す人をぼんやりと眺めていた。


7時間の授業を受け終え、塾に向かう。塾がない日も基本的に自習室で勉強している。行きたい高校がないので、自分の偏差値近辺の高校を目指す。だから、勉強に微塵もモチベーションが湧かない。


正直受験に落ちたってどうも思わない。高校や大学なんて行く必要がないと思っている。最近は生きることすらめんどくさい。




僕は厨二病である。




時は流れ、


二月二十日、第一志望校の合格発表がある。タブレットの画面を両親と眺める。沈黙の長い時間が過ぎ、結果が出た。


不合格だった。


自然と涙が出た。自分がなぜ泣いているのか分からなかった。行きたいなんて思ったことがない高校に落ちて僕は泣いている。人間の体って不思議だと思った。


僕は厨二病である。


そしてここで僕は受動的選択をしたのかもしれない。


時は流れ、高校に慣れ友達も数人はできた。

僕は、友達をたくさん作ろうなどと思っていない。


なぜなら厨二病だからである。


部活は中学でバスケットボールをやっていたが、部活の時間を他に当てることで人生の幅が広がると思い、高校は帰宅部を選択した。

無駄で空虚な時間を過ごすなどとこの頃の僕は微塵も思っていなかった。


高校は第三志望校の男子校を選択した。男子校に魅力などない。

恋愛、青春から遠く離れた三年間を過ごすと思うと気が遠くなっていく。

もちろん初めは男子だけの学校に魅力を感じていたからこそ男子校を選択したのだが、女の子のいない学校に行く行為は僕にとって拷問に等しかった。

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